グリーンロケッツ、手応えつかみながらも勝利に届かず、レギュラーシーズンを終える!
レギュラーシーズン最終戦となった横浜キヤノンイーグルス戦。
前半は、0対0というスコアが現すようにグリーンロケッツの防御が機能した。
積極的に前に出てイーグルスのリズムを狂わせ、たとえ突破を許しても懸命に戻ってトライを防いだ。
8分にはトライを奪われたように見えたが、TMOによってその前にスローフォワードがあったことが確認され、トライが取り消された。これも、突破されながらも懸命に防御に戻った結果、イーグルスのボールキャリアとサポートの間にズレが生じたからだった。
前半が終了した段階でのハンドリングエラーは、イーグルスが9でグリーンロケッツが2。
グリーンロケッツが少なかったのには、防御時間が長く、アタックする頻度が少なかったという背景もあるが、この数字はまた、長時間のディフェンスにも集中力を途切れさせず、愚直にタックルを繰り返したことを示していた。
特筆すべきはFWの健闘だ。
LOジェイク・ボールはラインアウトで相手ボールを2回スチール。ピンチの芽を摘み取った。
同じLOの山極大貴は、18分に抜け出したイーグルスWTBヴィリアメ・タカヤワに懸命に戻ってタックルを見舞い、こぼれたボールをHO佐藤耀が拾ってターンオーバーを成功させている。
22分過ぎには、こんな場面もあった。
自陣22メートルライン付近でイーグルスがラインアウトからモールを組んで攻勢に出る。それをFWが押し返してターンオーバー。奪ったボールをSH田中史朗が持ち出し、サポートしたジェイクが懸命に走って独走状態に。左にはWTB杉本悠馬がついて、ラストパスが通ればトライ、という場面を作り出した。
しかし、ここでこぼれたボールをイーグルスに奪われて、ゴール前まで逆襲される。
この大ピンチに、逆サイドから駆け戻ったのがWTB後藤輝也だった。
真昼の太陽が頭上から照りつけるコンディションのなか、息つく間もない攻防の連続にも、全員が集中力を保っていた。
前半の40分間、トイメンの現役南アフリカ代表CTBジェシー・クリエルに対して、最前線で身体を張り続けたCTB松浦康一が言う。
「今日は、身体がすごくキツいと思って時計を見たら、まだ8分しか経っていなかった。本当に厳しいゲームでした」
28分過ぎにゴール前でペナルティを続けて犯した場面では、田中のこんな叫び声がスタンド2階席まで明瞭に届いた。
「前、見ろ! 前っ!」
集中を促す叱咤激励だった。
田中が言う。
「FWが、すごく気合いが入っていたので、FWに声をかけることを意識していました。というのも、パフォーマンスがとても良かった分、暑さのなかで疲れている部分があった。だから、ペナルティを犯した直後は声をかけて、意識を切らないように注意を促していました。僕自身もしんどかったのですが、そうすれば、常に前を見たり、すぐに後ろに下がることができますからね」
ピッチに立つフィフティーンの気迫は、出番を待ちながらベンチで戦況を見つめていたトム・マーシャルにも伝わった。
マーシャルが言う。
「この暑さのなかでみんなとても頑張っていたし、ハーフタイムにロッカーに戻るときも、チームはいい雰囲気だった」
ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)も手応えを感じていた。
「1月8日の開幕戦でイーグルスと対戦したときには、前半終了直前にトライを奪われて8点差(5対13)でハーフタイムを迎えましたが、今日は0対0。そこにチームとしての成長が感じられた。今日は勝つチャンスだと思っていました」
ただ、そんな前半にも、課題がまったくなかったわけではない。
9分には、田中がスクラムからサイドアタックを仕掛けて大きく抜け出し、トライチャンスを作り出す。イーグルスのペナルティでゴール前の絶好の位置でラインアウトを獲得したが、ここでノットストレート。すぐに次のスクラムを押し込んでペナルティを獲得したものの、スクラムを選択したところでイーグルスFWに巻き返されてペナルティを犯し、チャンスを逸した。
37分にも、田中のキックで地域を進めて得たゴール前のラインアウトでノットストレート。
この場面は、スタンドからはボールがまっすぐに入り、山極がクリーンキャッチしたように見えたが、ボールを投入した佐藤は、冷静にこう振り返った。
「僕らとしてはしっかり確保できてモールが組めたと思ったのですが、今季はノットストレートの判断基準が厳しいので、みんなでそこを理解していかないといけないですね。ベーシックなスキルの部分で、ジャンパーがまっすぐ跳ぶとか、レフェリーにどう見えるかという見え方まで突き詰める必要がある、と思いました」
司令塔のSOフレッチャー・スミスもこう話す。
「トライを獲れるチャンスは1試合にそれほど多くない。だから、1つひとつのチャンスを確実にモノにできるようにする。勝利をつかむためには、それが必要です」
神は細部に宿る――試合のなかのディーテイルを相手より正確に遂行することが、勝利をつかむためには何よりも大切なのである。
後半も、グリーンロケッツの健闘は続いた。
立ち上がりの42分にトライを奪われ、0対5とリードを許したが、すぐに反撃。
48分には、ゴール前のラインアウトからモールを作り、佐藤がトライ。スミスのコンバージョンで7対5と逆転した。
イーグルスに連続トライを奪われて7対19と点差が開きかけた70分過ぎにも、ゴール前のペナルティからジェイクが突進。そこから小刻みにラックを作ってFWで攻勢をかけ、再びペナルティのアドバンテージが出たところでバックスに展開。
スミスが一度マーシャルにパスを放り、マーシャルが2人がかりのタックルを受けながらもスミスにパスを戻してトライに結びつけ、コンバージョンで14対19と、ワンチャンスで逆転できるところまで追い上げた。
そのリスタートでペナルティを犯してピンチを迎えたときも、前半に続いて粘り強くディフェンスし、イーグルスのハンドリングエラーを誘う。
続くスクラムでは、フロントローが瀧澤直、アッシュ・ディクソン、當眞琢に代わったFWが奮起。イーグルスを押し込んでペナルティを獲得してピンチを脱出。直後のラインアウトからは、ボールを大きく右へ動かし、CTB児玉健太郎からパスを受けた後藤が一気にイーグルス陣内に深く侵入する。サポートしたマーシャルとのパス交換でミスが生じて相手ボールのスクラムとなったが、ここでもFWが押し込んでペナルティを獲得して、勝利に希望をつなぐ。
テイラーHCも、「最後の笛が鳴るまで、ずっと勝つチャンスがあった」と、振り返った。
そして、試合終了を告げるホーンが鳴るなかで迎えた最後のアタックだ。
スクラムから始まったラストアタックは、しかし、10フェイズを数えたところでノット・リリース・ザ・ボールの反則をとられてしまう。しかも、イーグルスはゲームを切らずに素早くアタックを仕掛け、一気にトライに結びつけて、14対26とグリーンロケッツを突き放した。
無情の結末だったが、田中は、試合後にこの場面をチームの課題として指摘した。
「もし、みんなが意識を切らさずに集中できていれば、そしてもし、僕がまだグラウンドに残って“もっと早くセットしろ!”と言っていたら、トライまでは行かなかったのではないか。そう思います。あそこでトライを獲られなければ(7点差以内負けの)1ポイント獲得できました。ここでポイントを獲得しても入替戦は避けられないのですが、でも、この1ポイントを獲得することが、これからのグリーンロケッツには大事になる――そういう意識を持つことが大切なのです」
数多くの勝利を知る男は、ふっと集中が途切れた瞬間の怖さを熟知しているのだ。
実際、ここでトライを与えずに試合を終えていれば、通算の勝ち点が15となってNTTドコモレッドハリケーンズ大阪を上回り、グリーンロケッツは11位へと順位を上げてレギュラーシーズンを終えていた。しかし、この失点で勝ち点は14のまま。レッドハリケーンズと同ポイントながら、直接対決で敗れているために、12チーム中12位という結果を招いてしまった。
DIVISION1での勝利に手が届かなかったグリーンロケッツにとって、厳しい教訓を与えられたのが、最終戦のラストシーンだったのである。
しかし、シーズンはまだ終わったわけではない。
DIVISION2で2位となった三重ホンダヒートとの入替戦が2試合残っている。
入替戦の細かいレギュレーションも、試合会場や日時もまだ発表されてはいないが、どんなレギュレーションで行われるにせよ、グリーンロケッツに求められるのは連勝してDIVISION1所属チームとして来季を戦う権利を確保することだ。
過去には、16年1月30日に三菱重工相模原ダイナボア―ズと一発勝負の入替戦を戦い、前半を3対3と苦しみながらも後半に突き放し、17対3でトップリーグ残留を決めた経験が、グリーンロケッツにはある。
そのときもキャプテンを務めていた瀧澤は、こう話す。
「6年前にも経験しましたが、入替戦は、本当に1点差でもいいから勝つことが求められる。決して楽な試合ではないのですが、チーム一丸となって今まで13試合戦ってきた成果と意味をぶつけて頑張るしかない――そういう気持ちでいます」
一方、入替戦未経験の田中は、「今日の試合のいいイメージをしっかり持ち続けること」が、入替戦に向けて大切だと話す。
「1人ひとりが、チームのために身体を張るという意識をしっかり持てばいい。僕自身、今日の試合は本当にチームメイトを誇りに思いますし、この思いをシーズン最後まで持ち続けたい。それが、来季のウィニング・カルチャー(勝者の文化)の土台につながっていくでしょう」
テイラーHCが、「勝利に手が届くチャンスが何度もあった」と振り返ったイーグルス戦の悔しさ。スクラムを筆頭に、シーズン序盤に出た課題の修正を積み重ねてつかんだ手応え。
それらを、すべてウィニング・カルチャーを築くための土台とできるのか――入替戦は、グリーンロケッツの未来をかけた「挑戦」なのである。
スターティングメンバーなどはこちらよりご覧ください。
リーダーズコメント
ロバート・テイラーHC
最初に、シーズンを通してずっと応援を続けていただいたクルーの皆様に、感謝の気持ちをお伝えします。今季はここまで勝利をお届けすることができませんでしたが、戦いぶりから、チームが良くなっていることを感じていただければ、と思います。
今日の試合も残念な結果になりましたが、チームはグリーンロケッツのジャージーに誇りを取り戻すような戦いを見せてくれました。引き続き入替戦がありますが、こちらでも応援をいだければ大変ありがたく、また選手たちにとっても大きな力になります。
これからも皆様の応援とサポートをよろしくお願いします。
今日は、勝利に手が届くチャンスが何度もありましたが、最後にトライを獲り切れずに残念な結果になりました。ただ、開幕戦でイーグルスと対戦したときには、前半終了直前にトライを奪われて8点差(5対13)でハーフタイムを迎えましたが、今日は0対0。チームとしての成長が感じられました。
課題だったディフェンスも、イーグルスのようなアタックを積極的に仕掛けてくるチームに対抗できたので、成長が見えたことになるでしょう。
ディフェンスでは、1人ひとりが、自分の役割をしっかりと理解してそれを全うすることが何よりも大切です。その点で、1人が孤立して頑張るのではなく、全員がお互いのために力を出し切ったゲームでした。ここ数試合、上位チームとの試合を経て、だいぶ良くなってきたと思います。
今季はまだ2試合あるので、シーズンを振り返るのは入替戦が終わってからにしたいのですが、レギュラーシーズンでグリーンロケッツは、今日の試合も含めて5試合、非常に競ったゲームをしました。静岡ブルーレヴズ、リコーブラックラムズ東京、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安戦は、いずれも7点差以内負けのポイントを獲得しています。これはチームとしての成果だと思います。
チームのDNAであるセットプレーでも、反則が減って改善された。そうした部分は、入替戦でも継続していきたいと思います。
ただ、レギュラーシーズンで、ボトム3に沈んだことは予期しない結果で、非常に残念でした。
接戦のいくつかを勝っていれば入替戦を回避できたのですが……。
でも、結果には満足できませんが、チームとしての成長にはポジティブな手応えを感じています。
連敗が続くなかでも、グリーンロケッツは課題を改善し、チームとして向上しました。連敗でパフォーマンスが落ちることは非常に良くない兆候ですが、そうならなかった。
だから、振り返れば、落胆と、成長を実感した喜びが、半々のレギュラーシーズンでした。
瀧澤直キャプテン
今季は、結果がすべてだと思います。
もちろん、ポジティブなことをたくさん話すこともできますが、やっぱり選手もコーチもチーム全員が、この結果を結果として受け止めないと、次に進めない。
今季は、全般的に得点を獲っているにもかかわらず、それを上回る得点を獲られているので、もちろんディフェンスが課題ということになります。
シーズンの途中にいいディフェンスができるようになったり、ペナルティを減らすこともできた。反省点が出たことに対して修正ができたこともあったのですが、別な試合ではまた戻ってしまったり、といったこともありました。武器になったところもあれば、ならなかった部分もあったので、勝てなかった理由を1つ挙げるなら、やはりディフェンスになるでしょうね。
入替戦は、6年前にも経験しましたが、本当に1点差でもいいから勝つことが求められる。決して楽な試合ではないのですが、チーム一丸となって今まで13試合戦ってきた成果と意味をぶつけて頑張るしかない――そういう気持ちでいます
プレーヤーズコメント
今季通算2トライ目を記録したHO佐藤耀
スクラムは、シーズンを通してやってきたことが形になり始めてきました。特に土井(貴弘)さんや(石田)楽人とか、PR陣が頑張っているので、僕はそれをまとめるだけ、という感じです。
第4節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦でケガをしたときは、焦りはありましたが、グリーンロケッツのHOはみんな良い選手だと思っているし、誰が出ても信頼ができる。だから、ゆっくり身体を休めるいいチャンスだと気持ちを切り替えて、グラウンドに戻れました。
今季を振り返ると、僕のノットストレートも含めて、1人ひとりのスキルがあと少し足りないように思います。
今日の前半終盤のラインアウトも、僕らとしてはしっかり確保できてモールが組めたと思ったのですが、今季はノットストレートの判断基準が厳しいので、みんなでそこを理解していかないといけないですね。ベーシックなスキルの部分で、ジャンパーがまっすぐ跳ぶとか、レフェリーにどう見えるかという見え方まで突き詰める必要がある、と思いました。
入替戦は、僕にとっては初めての経験で、プレッシャーもかかりますが、開幕戦から比べると、チームは確実に良くなっています。だから、チーム一丸となるということを、言葉だけではなく、隣にいるチームメイトを信じて、実際に自信を持ってプレーすることが大事だと思います。
それから、今季のこのメンバーでやる最後の試合でもあるので、そういったことも思いながら、一戦一戦をしっかり戦っていきたいですね。
サイドアタックやキックも織り交ぜてチームを引っ張ったSH田中史朗
コーチにおんぶにだっこではなく、自分たちでやらなければ勝てない――みんなが、それを少しずつわかってきたので、今日はリーダーとしてみんなに声をかけて鼓舞しようと思っていました。
特にFWが、すごく気合いが入っていたので、FWに声をかけることを意識していました。というのも、パフォーマンスがとても良かった分、暑さのなかで疲れている部分があった。だから、ペナルティを犯した直後は声をかけて、意識を切らないように注意を促していました。僕自身もしんどかったのですが、そうすれば、常に前を見たり、すぐに後ろに下がることができますからね。
(イーグルスにペナルティから仕掛けられてトライを奪われた)最後の場面も、もし、みんなが意識を切らさずに集中できていれば、そしてもし、僕がまだグラウンドに残って“もっと早くセットしろ!”と言っていたら、トライまでは行かなかったのではないか。そう思います。あそこでトライを獲られなければ(7点差以内負けの)1ポイント獲得できました。ここでポイントを獲得しても入替戦は避けられないのですが、でも、この1ポイントを獲得することが、これからのグリーンロケッツには大事になる――そういう意識を持つことが大切なのです
今季は、自分がしっかりハードワークすることを心がけていました。37歳がこれだけやっているんだから、もっとできるでしょ――言葉では言いませんが、そういう部分を感じ取ってもらえるように、身体で表現したいと思っていました。
今日途中から入った木村(友憲)ともいっしょにトレーニングをハードにやっていますが、それを違うポジションの選手が見てハードワークする。そういうケースが増えてきました。
まだまだ足りない部分もありますけど、意識としてはハードワークすることが広がっています。
入替戦に向けては、今日のいいイメージをしっかり持ち続けることですね。
1人ひとりが、チームのために身体を張る。相手の1人ひとりに勝つ。そういう意識をしっかり持てばいい。僕自身、今日の試合は本当にチームメイトを誇りに思いますし、この思いをシーズン最後まで持ち続けたい。それが、来季のウィニング・カルチャー(勝者の文化)の土台につながっていくでしょう
キックの連続成功記録を23回に伸ばし、トライも挙げて個人得点ランキングで12位(63得点)に入ったSOフレッチャー・スミス
得点ランキングとか数字を意識したことはないし、個人的にも、ほとんど興味がありません。
今日は、イーグルスがアタッキングラグビーをしてくるチームなので、PGで3点ずつ積み重ねてもあまり意味がないし、入替戦を回避するためには、相手に3トライ差以上つける5ポイントの勝利が必要だったので、トライにこだわりました。
最後のアタックは、FWにボールを持たせて単純なアタックを繰り返しても、突破するスペースを作り出すことができないから、チャンスを作り出すためにどんどんボールを動かしました。
ただ、そういう状況では、ボールを持った選手が孤立することが起こり得る。実際にそうなってしまいましたが、こうしたアタックをトライまでもっていくためには、1人ひとりがボールキャリアを孤立させないためにはどうすればいいか、それぞれの役割を深く理解して果たす必要がある。
また、そうすることが、入替戦の準備にもつながると思います。
トライを獲れるチャンスは1試合にそれほど多くない。だから、1つひとつのチャンスを確実にモノにできるようにする。勝利をつかむためには、それが求められると思います。
前半40分間、身体を張り続けたCTB松浦康一
今日は、身体がすごくキツいと思って時計を見たら、まだ8分しか経っていなかった。本当に厳しいゲームでした。自分でも全然動けていないと思ったし、泥臭いプレーを淡々と繰り返しただけで、むしろ、「ちゃんとプレーできているのかな」という気持ちでした。
ディフェンスをしているときに、(イーグルスの田村)優さんとずっと目が合っていました。
だから、どういうふうにアタックを仕掛けてくるのか、いろいろと対応を考えていたのですが、結果的には、一番シンプルに僕のトイメンの(現役南アフリカ代表CTB)ジェシー・クリエルにパスをして、クリエルを当ててきた。ぎりぎり止めましたけど、クリエルは後半にやはり地力を出してきたし、スタミナがすごい。CTBはそういう部分が大事なので、学ばないと……と思いました。
今季は、シーズンの後半にチームの雰囲気もガラッと変わって、良くなってきた部分もある。
自分自身、そういうときに試合に出られるようになってきたので、今度はケガをしないようにコンディションを調整して、試合でいいパフォーマンスをすることを心がけています。
入替戦は、DIVISION1だからどうのこうのではなく、まず勝ちたいですね。まず1勝したいというのが素直な気持ちですし、チームとしても、次のシーズンに向けて一番大事な試合になると思っています。だから、勝つことしか考えないようにしています。
18年度まで在籍したイーグルスを相手に気合い満点のタックルを見せたCTBティム・ベネット
古巣とのゲームに出ることはずっと意識していました。
いつもチームメイトのためにベストのパフォーマンスをするように心がけていますが、イーグルスはかつて在籍したチーム。やはり特別に気持ちが入りました。
入替戦に向けては、今日のようなタフなゲームの後は、まず身体を休めてしっかりとリカバリーをすることが大切です。そして、入替戦にベストの状態で臨めるようにコンディションを整えること。チームは、これまで積み重ねてきたことをしっかり実行できれば勝てると思うので、僕自身もまず身体を休めて、残り2試合に向けたいい準備ができるようにコンディションを整えたい。本当に大事な2試合ですからね。
今季は、これまで結果は出ていませんが、それでも試合を重ねるなかで選手たちは、自分たちのラグビーに確信を深めています。だから、自分たちを信じて、その土台の上に準備を重ねていけば、入替戦も勝てると思いますよ。
シーズン後半に左WTBに定着して活躍中の杉本悠馬
最後のアタックでは、どこかでブレイクが起これば、それについて行ってラストパスをもらい、トライを獲ろうと思っていました。相手が反則を犯すこともあると思っていましたが、ディフェンスが良くて、なかなか突破口を開くことができなかった。
今日は、今季で一番、チームとしてのディフェンスがしっかりできたと思います。後半の立ち上がりに、簡単にトライを獲られましたけど、常に粘れていました。
ディフェンスは、自分自身もだいぶ上手くなってきたと思います。アタックでは、フィニッシャーとしてもう少しトライを獲っていきたい。
入替戦でも、絶対に頑張ります!
3試合ぶりの出場で後半の勝負所で投入されたFBトム・マーシャル
今日は前半にいいスタートを切れて、イーグルスをノートライに抑えることができた。ハーフタイムにロッカーに戻るときもチームはいい雰囲気だったし、この暑さのなかでみんなとても頑張っていました。ただ、力を出し切ったにもかかわらず、勝ちにつながらなかった。それが残念です。
ラグビーをプレーすることが大好きだから、ベンチにいるときからウズウズしていました。何より、チームに貢献したかった。やってやろうと思っていました。
入替戦では、今日のように、最後のプレーでトライを獲り切らなければ勝てないという状況を作らないことがまず大切ですが、万一ああいう状況になっても、今季はアタックがどんどん良くなってきたので、スペースにボールを運び、とにかくアタックを継続するんだ、という気持ちが大切です。
今は、シーズン最初の頃とは違って、キックを使って相手にプレッシャーをかけるゲームプランになってきましたが、どんなゲームプランであれ、もう少しボールを継続して、相手に臨機応変に対応する必要はあると思います。
アウトサイドのバックスとしては、みんながいい仕事をしてくれた結果、スペースができて、そこから自分の仕事が始まるわけですから、僕自身がトライを獲ることは特に意識していません。
入替戦に向けては、とにかくメンタルもフィジカルもしっかり休めて、どういうゲームプランでも、しっかりと対応できるよう、準備したいと思っています。
(取材・文:永田洋光)