NEC GREEN ROCKETS
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第1節 12/18(日) vs 花薗近鉄ライナーズ マッチレポート

試合情報

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徹底したタックル練習で手繰り寄せた1527日ぶりの勝利


序盤は風上に立ったNECグリーンロケッツ東葛が攻勢をしかけたが、時間の経過とともに花園近鉄ライナーズが盛り返していく。柏の葉公園総合競技場で行われた開幕戦は終始拮抗した攻防が繰り広げられ、最後は36対34という僅差でNECグリーンロケッツ東葛が逃げ切った。

昨季のNECグリーンロケッツ東葛は、入替戦を含めて7点差以内での敗戦が5試合あった。
その原因について、レメキ ロマノ ラヴァは「昨季はリーグワンの平均で、ペナルティーの数が一番多かった。僅差の試合でもペナルティーを取られていた」と振り返った。また、ワラビーズ(オーストラリア代表)での代表キャップ72を誇るニック・フィップスは「全体的にペナルティー数を減らすことが勝利のカギになる」と提言。新シーズンに向けて徹底してきたのはペナルティーの数を減らすことだった。


「プレシーズンも最初の2カ月はほとんどボールに触っていない。タックル、タックル、タックル……。走り込みとタックルにフォーカスして練習をしてきた。試合では絶対にキツい時間帯が来る。その部分では準備ができていたので、タックルには自信を持っていた」(レメキ)


36対34と、NECグリーンロケッツ東葛のリードで迎えた試合終盤。
22mラインを越えたエリアで花園近鉄ライナーズが怒とうのアタックをしかける。もしここでペナルティーを与え、ペナルティーゴールによって3点を奪われればスコアが逆転する緊迫したシチュエーションである。ただ、プレシーズンに特化してきたタックルの練習の成果と、「この1週間も、まずはペナルティーを減らすことに集中してきた」(ニック・フィップス)と、チーム内での意識共有が最後の局面で生かされた。NECグリーンロケッツ東葛は31フェーズに及んだ花園近鉄ライナーズの猛攻に対し、激しいタックルで応戦。ペナルティーを与えることなく耐え抜き、ジャパンラグビー トップリーグ時代からあわせ1527日ぶりの勝利を飾った。


「みんなが自分の仕事に自信を持っていた。それは全部タックルの練習をしてきたから。最後の4分間はよいディフェンスができて勝つことができた。新しいチームになって、これからもっと強くなると思う」(レメキ)

入替戦の末にディビジョン1残留を果たした昨季は確かに苦しいシーズンだった。はい上がるためにも、その経験を無駄にはしない。昨季の悔しさと学びを糧にしたNECグリーンロケッツ東葛は、今季の開幕戦で紙一重の勝利を手繰り寄せた。
(取材・文:鈴木潤)
 


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リーダーズコメント

昨季の悔しさバネに、クルーに後押しされてつかんだ1527日ぶりの勝利!
リーダーたちが見たピッチの景色 第1節



「長かった。本当に長かった」
NECグリーンロケッツ東葛のロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)は、感に堪えたように何度もその言葉を繰り返した。
“Long time, really long time……”と。
レギュラーシーズンにグリーンロケッツ東葛が勝利を挙げたのは、トップリーグ時代の18年10月13日、日野レッドドルフィンズ戦(38対12)以来、1527日ぶり。
テイラーHCが就任したのは昨季なのでその全期間を指揮したわけではないが、就任1年目から悩まされたのがウィニングカルチャー(勝者の文化)ならぬ、「なかなか勝てない文化」だった。
相手に食い下がり、ときには追い詰め、もう少しで手が届きそうになりながらも跳ね返された「勝利の壁」。要因はさまざまだったが、それでもチームはくじけることなく、「キャラクター」つまり特色を明確にして、勝利をつかむにはどういうプロセスが必要なのかを模索してきた。
試行錯誤しながら見つかった課題に修正を施し、長所を上手く伸ばしながらチームを作り上げた日々の末に、花園近鉄ライナーズに36対34と競り勝って手にした待望の勝利だ。
そんなプロセスが「長かった」のである。

テイラーHCが言う。
「今日の試合でとても嬉しかったのは、選手たちが、どん底の状態から自分たちのチームの特色を信じて、これまで積み重ねた準備の集大成として勝利をつかんだこと。それが、反則を犯さずに31フェイズを守り抜いた最後の防御に集約されていました。
チームは、新しい形になって今季が実質的に2年目です。
昨季の結果を踏まえて、今季は練習の構成も変えたし、新しいスキルの習得にも取り組みました。メンバーも少数精鋭になって、コーチングスタッフにとっても1人ひとりに目が届きやすくなった。そうしたさまざまな変化が積み重なって、攻守にわたってゲームプランが明確になった。選手たちも、自分の長所や短所を、昨季の経験から学びました。だから、試合のなかで間違ったことをやってしまっても、何をどう間違えたのか振り返ることが可能になったし、修正もしやすくなった。誰がどうプレーするべきかが明確になったことが、自信につながっているのです」


キャプテンのレメキロマノラヴァは、もっと率直にこう言った。
「今日は、試合の入りが良くて、そのまま勝てるムードだったけど、ミスやペナルティから崩れた部分があった。それが最後までわからないゲームになった原因だけど、昨季だったら、流れが悪くなったところから立て直せずに、負けちゃったかもしれないね」。
そんな悪い流れを断ち切って勝利に結びつけた要因を、キャプテンはこう話す。
「昨季の悔しさや経験が、いい勉強になりました」
昨季の悔しさから積み重ねたハードワークが自信を生んで、最後の「我慢」につながったのである。
そして、最後の苦しい防御を振り返って、こう言葉を継いだ。
「最後は31フェイズ、反則しないでずっとディフェンスができた。練習の成果が出ました。開幕前に、ずっとそういう練習をしていたからね。ディフェンスコーチの“ミスター・パッション(情熱)”、太郎さん(権丈太郎コーチ)も、最後はずっと情熱的に声を出し続けていた。だから、ピッチにいる僕たちも、みんなのため、仲間のために勝ち切ろうと必死に戦えたのです。
スタンドのクルーの大声援も大きな後押しでした。今日は、お客さんがいなかったら、たぶん、負けていたと思う。声援があったからこそ、最後を我慢することができたのだと思いますよ」


テイラーHCも、最後にクルーに向けて感謝のメッセージを送る。
「クルーのみなさんにもハッピーな気持ちをお届けできて、今はすごく幸せです。ホストゲームで、観客席が緑に埋まっていたことが、大きな励みになりました。今日は多少、ローラーコースターみたいなゲームになりましたが(笑)、次のホストゲームでも、みなさんが幸せな気分で帰れるように頑張ります!」


グリーンロケッツ東葛の次節は、25日、クリスマス当日に味の素スタジアムに乗り込んでの東京サントリーサンゴリアス戦だ(14時30分キックオフ)。
テイラーHCは、「失うものが何もない私たちには最高のチャレンジ。今から対戦が待ちきれない」と、目を輝かせる。
白星発進したグリーンロケッツ東葛、次節も見逃せない!
(取材・文:永田洋光)



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