「チームはもっとステップアップできる」 〜GR東葛が東京S戦で得た教訓と収穫とは〜
開幕節の花園近鉄ライナーズ戦に続いての勝利を狙って、東京サントリーサンゴリアスにチャレンジしたNECグリーンロケッツ東葛。
立ち上がり3分には、一度もマイボールのセットプレーを得られないままサンゴリアスにトライを許す苦い立ち上がりとなったが、そこからトライを返して5対7と食い下がり、粘り強い防御でスピードランナーを揃えたサンゴリアスのアタックを封じ、ミスを誘って一気に反撃――というゲームプランが功を奏しかけた。
しかし、前半20分過ぎまでに3度訪れたチャンスを追加点に結びつけることができず、最終的には19対50と敗れた。
敗因は――「フリーキックも含めて20回もペナルティを犯して、サンゴリアスにチャンスを与えてしまったことに尽きる」と、ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)は振り返った。
「20個も、相手にペナルティを与えたということは、つまり、アタックできるチャンスに20回、相手にボールを渡してしまったことを意味している。その分、サンゴリアスに数多く自陣の22メートルライン内に入られて、トライを与えるきっかけになってしまった。しかも、注意を払えば防げるペナルティがあったことも、反省点です。攻守に良い面が出た試合だっただけに、そうしたミスは、選手ときちんと話して、次節までに修正していきたい」
キャプテンのレメキ ロマノラヴァは、前半のチャンスを作り出した時間帯に、ノット・リリース・ザ・ボールの反則についてのルール解釈がレフェリーと微妙に食い違い、それを修正できなかったことを「残念」と振り返って、こう話した。
「今日は、ボールがもっと回ってくれば、いつでもトライを獲れる手応えがあったのに……」
それでも、19対50というスコアを、次節以降に引きずる必要はないと、テイラーHCは話す。
「今日は、PR石田楽人とNo8アセリ・マシヴォウの2人が、試合直前に体調を崩して欠場したことが、チームとしては痛かった。スクラムの柱と、攻守のキーマンが欠けたわけですから。
でも、チームはメンバー全員が一丸となって、誇りを持って試合に臨みました。前半はいい形のアタックもできたし、攻守にわたっていいところがあった。
以前は、サンゴリアスに自陣からでもどんどんボールをつながれて、一方的にトライを重ねられることが多かったのですが、今日のサンゴリアスのトライは、グリーンロケッツ東葛陣の22メートルラインに入ってからの、セットプレーを起点にしたものがほとんどだった。それも、私たちが力をつけて、差を縮められたからでしょう。PR菊田圭佑やCTBクリスチャン ラウイのような若い選手が、成長を示してくれたのも嬉しいことでした」
レメキも、まったく同じことを口にする。
「サンゴリアスは、立ち上がりにランを中心に攻めてきたけど、僕たちがトライを獲られたあとでしっかり守れるようになったら、キックで地域をとってセットプレーからトライを狙う作戦に変えてきた。それだけ、僕らの防御が功を奏していたんだ。それが今季、強くなった部分だね」
その上で、テイラーHCは、この試合で出た細かい課題にも言及する。
「ただ、今日はペナルティで相手にチャンスを与えただけではなく、こちらにもいくつか判断のミスがあった。それは反省しなければなりません。
特に、後半に入って、ゴールラインが目の前なのに、ペナルティをもらいながらクイックタップから速攻を仕掛けて反則をとられた場面や、サンゴリアスNo8テビタ・タタフがシンビンで相手が14人になったときに、数的優位を利用してボールをキープしてアタックし続けるのではなく、キックを選択してしまったことなど、細かい判断ミスが目につきました。
これらのミスは、自分たちで防げたペナルティをなぜ犯したのかと同じように、これから選手たちとしっかり話し合って修正していきたいですね」
そして、年明け1月8日に迎えるホストゲームのコベルコ神戸スティーラーズ戦 (柏の葉公園総合競技場 14時30分キックオフ)に向けて、こう抱負を述べる。
「それでも、こうした課題は決してネガティブにとらえる必要はなく、次のスティーラーズ戦に向けて、いい教訓になったと、とらえるべきでしょう。選手たちがこれまでの苦い過去の経験から学び、ペナルティを減らして、もう少し的確な状況判断ができれば、チームはもっとステップアップできる。今日の19対50というスコアが、そのままチームの実力を現しているわけではないのです」
キャプテンは、もっと率直に、ストレートにこう言った。
「今日の前半みたいに、しっかり守って相手のミスを誘って反撃するような、アンストラクチャーな状況や時間を増やせばもっとトライを獲れるよ。それが、次節に向けてのいい材料だと思う。みんな、今季は80分間走れるようになったしね」
果たしてグリーンロケッツ東葛は、2023年最初の試合を、今季2度目のホストゲームでの勝利で飾ることができるか――。
選手たちの「粘り強い防御」を後押しするのは、クルーが送る大きな拍手だ!
(取材・文:永田洋光)
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