NEC GREEN ROCKETS
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第8節 2/18(土) vs トヨタヴェルブリッツ リーダーズコメント

試合情報

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惜敗の悔しさを「教訓」に、GR東葛、今季2勝目へモチベーションを高める!
~セットプレーの担い手たちが証言するGR東葛の手応えと勝利への思い~



18対21。
惜敗――の一言で片づけるには、あまりにも悔しい敗戦だった。
試合終了まで残り6分を切った時点でスコアは18対14。NECグリーンロケッツ東葛の今季2勝目は、すぐそこに見えていたのだ。
1勝6敗の成績で迎えたインターバルを利用して今季の後半戦にどう戦うかを確認した。
意思統一は図られ、試合開始直後にPR上田聖がトヨタヴェルブリッツのボールキャリアに突き刺さるような鋭いタックルを見舞ったのを皮切りに、全員が身体を張って、立ち上がり20分間の苦しい防戦を失点ゼロで切り抜けた。
その20分間に、SHニック・フィップスはCTBマリティノ・ネマニとともにインゴールにトライしようとしたヴェルブリッツNo8姫野和樹を抱え込み、ボールをグラウンディングさせなかった。
LOジェイク・ボールは、自陣ゴールラインを背負ったピンチのラインアウトで相手ボールをきれいにスチール。失点の芽を摘んだ。
だから、試合後のロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)の表情には、明らかな悔しさが色濃く現れていた。
 
テイラーHCが言う。
「確かに手痛い黒星でしたが、開幕戦に勝ってから6連敗というタフな連戦のショックを、選手たちが1週間のブレイクで払拭して、今日は勝利に向けて集中してくれました。先制点を挙げて前半をリードして折り返したのは、開幕戦の花園近鉄ライナーズ戦以来だし、残り5分まではリードを保っていた。それは選手たちが頑張った結果と言えるでしょう。選手たちを誇りに思います」
その上で、こう付け加えた。
「しかし、同時に厳しい教訓を与えられた試合でもありました。次節の三菱重工相模原ダイナボア―ズ戦(26日 秩父宮ラグビー場 12時キックオフ)、そして第10節のリコーブラックラムズ東京戦(3月4日 柏の葉公園総合競技場 12時)と、今日学んだ教訓を活かさなければなりません。どちらの試合も競った展開になって、今日と同じような状況が起こりうると予想できます。だからこそ、状況判断の正確さが非常に重要になってくるのです」
 

状況判断の正確さとはどういうことなのか。
テイラーHCの説明はこうだ。
「前半は自陣で耐えたあとに、ヴェルブリッツ陣で戦う時間を作ることができて、それが得点に結びつきました。しかし、最後の5分は、逆に自陣に押し込められてのアタックになった。これが最後に逆転できなかった要因です。だからこそ、きちんと地域を獲得して、最後まで相手陣で戦うことを徹底する必要がある。それが、次節以降に向けた教訓なのです。特にキックに関しては、攻め手がなくなったから蹴るのではなく、ボールを動かして前に出ているいい流れのときに、もう少し戦略的なキックを使いたかった。今日の選手たちのプレーぶりは素晴らしかったのですが、一方で、もうあと10%パフォーマンスを上げる必要があると思いました」
その「パフォーマンスを上げる」起点となるのが、スクラムやラインアウトでの安定したボール獲得だ。テイラーHCも、FWのセットピースには手応えを感じている。
「今日の試合で良かったのは、まずモールでトライを2つ獲れたこと。それから、セットピースが安定していました。アタックのときのラックでも、しっかりとボールを獲得できていました。これらをさらに磨いて次節に臨みます」
 

2トライを生み出したラインアウトについては、どこにボールを投入するかサインを出すだけではなく、相手側の特徴分析にまで余念がないジェイクが、こう説明してくれた。
「最初のトライを獲ったプレーは、ヴェルブリッツの弱点を探すなかで考えたオプションです。相手がどれくらいモールにコミットしてくるのか、移動してモールを組むときに、どこまでその動きを予見しているか、そういった傾向を分析した結果が、あのオプションでした。そういう分析は、常にスタッフとやっていますし、今回は手応えがありました」
確かに22分に挙げた先制トライは、ジェイクがラインアウト中央でボールをキャッチするや、すぐタッチライン方向にボールを送り、ヴェルブリッツが待ち構える地点から位置をずらして組んだモールを押し込んだもの。つまり、考え抜かれ、しっかりと準備したプレーだった。
ボールを投入したHO新井望友も、こう証言する。
「先制トライを獲ったのは、週のアタマから新しく取り入れて練習したプレーでした。今、ラインアウトでは、ジェイクが相手の空いているところを見極めてサインを出してくれるし、ジャンパーの山極(大貴)もしっかりキャッチしてくれる。だから、投げる僕としては安心して彼らに任せられるのです」


スクラムでも、同様に細かいコミュニケーションが試合中にとられていた。
PR久保優が言う。
「今日は、チーム全体でゲームの入りを意識しようという意図がありました。僕自身は、準備の1週間を通して自分にできることをやろうと考えていました。それが、周りとしゃべること。いかにコミュニケーションをとって連携するか――今日は上手くできたように思います。
最初の20分はとても苦しかったですね。全員が苦しかったと思います。ただ、そこで我慢できたのが本当に良かった。いつもならトライを獲られるところで我慢できたからこそ、先制トライにつながったと思うし、全員の意思統一がしっかりできていました。スクラムも、(前半9分に)ゴール前のマイボールスクラムで一度押されてプレッシャーをかけられた場面がありましたが、次の相手ボールのスクラムのときには修正ができた。細かい話ができた結果だと思います」
 

久保が言う「修正」を、今季初先発のPR上田聖がこう補足する。
「スクラムは、両チームとも自分たちが有利に組みたいので、組むときの距離(間合い)を巡って駆け引きがあります。(9分に)押された場面では、そういう距離が上手くかみ合わなかった。だから、僕たちがヒットできなくて、押され気味になってしまいました。ただ、その直後から(フロントローの3人で)話し合って、僕が一歩前に出ることにした。それからは、上手く組めた印象があります。どういうスクラムを組みたいのか、(味方同士でも)コミュニケーションが必要ですし、合わせていかないといいスクラムが組めないので、いつも(久保)優たちとは話すようにしているのです」
最前列の真ん中でスクラムの“舵取り役”を務める新井も言う。
「今日は、スクラムもラインアウトも1本ずつ話し合って修正しながらプレーできました。特にスクラムは、ハーフタイムにもう一度『こうしよう』と確認したので、後半は安定して組めましたね」

 

FW陣にこうした手応えがあったからこそ、3点差の逆転負けが強い悔しさに結びつき、その悔しさが、今度は次節以降の勝利へと向かう強いモチベーションとなる。
セットプレーの担い手たちは、そんなチームの思いを代弁してこう話す。
上田が言う。
「今日は負けてしまいましたが、次節のダイナボア―ズ戦、第10節のブラックラムズ戦は絶対に落とせない試合。次こそは悔しい思いをしないように、また1週間しっかり準備をして試合に臨みたい。まずはスクラムで相手をドミネート(支配)すること。そして、ディフェンスでは、しっかり前に上がってタックルしたいと思っています」
久保も、こう呼応する。
「今日は、しっかり声も出して全力でプレーしたのですが、結果は勝てなかった。では、何が足りなかったのか――それを、帰りの新幹線のなかからレビューして修正していきたい」
新井も、「今日チーム全員が悔しい思いをした分、次節以降は、今日の経験を活かして、最後までこちらの流れで試合を進められるようにチーム全体で意識していきたい」と、続ける。
 
そして、ウェールズ代表50キャップで、まさにチームの支柱であるジェイクがこう締めくくる。
「次節以降に向けてまず大切なのは、今日の試合から学ぶこと。そして、修正すべき点をしっかり練習すること。すべての試合に勝つ気持ちで臨み、自分たちがやるべきことに集中する――それが、もっとも大切なことなのです」
 
7点差以内負けのボーナスポイント獲得が話題に出ないほどの悔しい思いが、今、グリーンロケッツ東葛を2勝目へと突き動かしている。
果たして彼らの思いは、今季初登場の聖地・秩父宮でかなえられるのか。
次節のダイナボア―ズ戦は必見だ!

(取材・文:永田洋光)


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