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第9節 2/26(日) vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ リーダーズコメント

試合情報

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前節の惜敗を「教訓」に、GR東葛ラストアタックで劇的決勝トライ、今季2勝目を挙げる!
~ゲームの流れを変えたキックの活用をリーダーたちが振り返る~
 
26対26のタイスコアで残り時間が刻々と減っていくなか、NECグリーンロケッツ東葛は冷静だった。
時計が77分を回ったところで自陣でのマイボールスクラムを得る。
決勝トライをもぎ取るための大切な起点だ。これまでなら、準備してきたスペシャルプレーを仕掛けて一気に決着をつける――そんな“勝負”に出てもおかしくない状況だった。
しかし、SHニック・フィップスからパスを受けたSO金井大雪は、三菱重工相模原ダイナボア―ズ陣の奥深くへとまっすぐにボールを蹴った。それも、ダイナボア―ズがカウンターアタックを仕掛けられず、タッチにボールを蹴り出す以外にない地点に向かってだ。
これが、ダイナボア―ズ陣内に5メートルほど入ったところでのマイボールラインアウトにつながった。金井のキックが意図していたのは、相手陣に入って、こうしたラストアタックの起点を得ることだった。


果たして78分を回ったところでグリーンロケッツ東葛のラストアタックが始まった。
途中出場のFL細田佳也がボールをしっかりと確保。
フィップスからパスを受けたNo8アセリ マシヴォウは、金井へパス。CTBクリスチャン ラウイにボールが渡って最初のラックができる。
さらに左へ、途中でFBからWTBに回ったレメキ ロマノラヴァがパスを受けて、途中出場のFBトム・マーシャルWTB尾又寛汰へと展開。尾又が内側に切れ込んでラックを作る。
今度は右へ、途中出場のPR瀧澤直がラックを作ってさらに右へ。
金井からのパスを回り込んできたマーシャルが受けてラウイへ。ラウイが少し長めのパスを途中出場のCTBティム ベネットに放ると、ベネットが抜け出して大きくゲイン。
スタンドに陣取ったクルーのボルテージが上がる。
ベネットが倒されたのは22メートル付近だ。
このラックから今度は左へ、途中出場のPR當眞琢がくさびを打ち込むようにラックを作る。
5つのラックを経たボールを受けた金井は、隣に待つレメキにパス。
その前には、ダイナボア―ズのディフェンダーが4人横一列になって備えている。
レメキは、外側のディフェンダーの注意を自分に引きつけるべく、少し左斜め横に走って目線を内側の右に送る。
これでダイナボア―ズのディフェンダーがほぼ全員、レメキを見て一瞬動きを止めた。
外側に待つ尾又が大声でボールを呼び込む。
そして、レメキが左足でボールを転がした。
ディフェンダーの間を転がったボールは、ポンと弾んで尾又の胸に納まり、そのままの勢いで尾又がインゴールに飛び込む。
雄叫びと同時にレフェリーの笛が鳴ってトライが認められる。
79分02秒。
グリーンロケッツ東葛に、開幕戦以来の勝利をもたらす決勝トライが生まれた瞬間だった。
 

キャプテンのレメキは久しぶりの勝利に饒舌だった。
「その前のプレーで、僕が内側にステップを切ったらブレイクできた。だから、内側にステップを切るフェイクを入れたら、ディフェンスの足が止まって、外側があいてくる。あの場面も、一度フェイクを入れて外側のWTBを前に出して、左足で蹴ったんだ。
左足でゴロを蹴るキックはずっと練習してきたよ。あそこは、右足で蹴るとボールがそのままタッチに出る可能性がある。左足だと戻ってくるんだ。寛汰からのコールもあったしね。コールがあったということは、蹴れば絶対にチェイスしてくれるし、トライを獲れると思っていた。
練習通りに上手くいったよ!」
まさに「してやったり」の表情だった。
 

ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)も、開幕戦以来となった勝利に「今日だけはこの勝利の余韻に浸りたい」と笑った上で、こうチームを讃えた。
「今日は、前節(トヨタヴェルブリッツ戦=18対21)の教訓を活かして、80分間地域をとることにこだわってくれた。本当に選手たちは、前節の敗戦からしっかり学んでくれました。今日の収穫は、ゲームプランを信じる心を全員が持って最後まで戦い抜いたこと。そうした信念がとても大切で、これは次節につながるポジティブな要素です」
しかし、終盤の逆転劇にほころんだ顔も、前半立ち上がりにブレイクダウンでたびたびボールを奪われた場面に触れると、真顔に戻った。
「試合の最初の15分はストレスの多い展開だった」と振り返って、こう話したのだ。
「前半の立ち上がりには、パスを使ってボールを動かしていましたが、ブレイクダウンでダイナボア―ズにプレッシャーをかけられて、次々とボールを失った。『そこはパスじゃなくてキックだろ!』と、フラストレーションが溜まりました(笑)。もう少しキックを使えばいいのに……と。
そのなかで金井が2つ、素晴らしいキックを蹴ってくれたので展開が良くなりました。ニックもいいキックを蹴っていたし、ハーフ団の2人がキックでゲームを進めるように修正してくれた。
そうやってキックを使ったときは相手にプレッシャーをかけられたので、ハーフタイムには、もっとキックを使うように指示しました。前半にターンオーバーされることが多かったブレイクダウンについても、どうすれば改善できるかを話し合いました」
 

その金井は、司令塔の視点から、前半のゲームメイクをこう振り返った。
「立ち上がりは、中盤で少しボールを持ったところでターンオーバーされることが多かった。でも、途中から裏に蹴るように切り替えて、相手陣で戦うようになったらスコアができました。前半の最初のコントロールには少し課題が残りましたが、試合のなかで修正してエリアを獲得するように切り替えられたのは収穫だと思います」
象徴的な場面が、前半22分過ぎに金井が地域を獲得するために蹴ったキックだ。
相手陣22メートルラインを越えてボールがタッチを割り、ダイナボア―ズ投入のラインアウトに。ダイナボア―ズは、このラインアウトを確保してモールを組んだが、アセリが真ん中を割って出てボールを封印。そのまま、これ以上はプレーが続かないパイルアップの状態となって、グリーンロケッツ東葛ボールのスクラムとなる。
そして――このスクラムからニックの長いパスに走り込んだラウイがタックルを突破。そのままゴールポスト真下に飛び込んでトライに仕上げた。
まさにキックによる地域獲得から、得点が生まれたのだ。
 

手応えをつかんだ金井は、次節リコーブラックラムズ東京戦(3月4日 柏の葉公園総合競技場 12時キックオフ)に向けて、こう抱負を語る。
「ボールを持ってテンポが出ればいいアタックができる。だから、その基盤となるブレイクダウンと、あとは無理に攻めないことが大切になると思います。エリアをとるところはエリアをしっかりとる。そういう意味でも、スペースをしっかりアタックできるようなキックを心がけたいですね」
レメキは、昨年3月6日に秩父宮で、最後の最後にインゴールに飛び込んだLOジェイク・ボールのプレーがTMOでトライと認められず、ブラックラムズに18対21と惜敗した昨季の借りを返すべく闘志を燃やす。
「ブラックラムズ戦はメッチャ大事な試合。昨季は悔しい思いをしたけど、そのときよりもチームは全然強くなっている。だから、自信はあります。勝てると思っている。
ただ、今日はキックを使って我慢して最後にランという勝ち方だったけど、来週はまた違う戦い方になるかもしれない。ブラックラムズは、10番にアイザック・ルーカスが入ったら自陣からでも攻めてくるからね。だから、ゲームプランも、また違うものになると思う。
うん、でも、ホストゲームだから絶対に勝ちます!」


そして、テイラーHCも、次節に向けてこう手応えを語る。
「今日の試合では、ブレイクダウンやラインアウトは試合を通して波がありました。どちらも、高いレベルで一貫性のあるプレーができたわけではありません。キックとパスの選択も、少し首をかしげるところがありました。ブラックラムズはここ数試合で調子を上げているので、次節はタフなゲームになるでしょう。それに勝つためにはしっかりと準備をして、モールディフェンスとラインアウトなどの課題を修正しなければならない。
でも、そうした課題があったとしても、全員がゲームプランを信じて最後まで戦いきったことが、今日の大きな収穫です。今日勝ったことで、全員でまとまって『こうしよう!』という空気になる。そういう意味で非常に大きな勝利でした。
今日出たメンバーは、前節とほとんど同じですが、みんな良い仕事をしてくれました。メンバー外の選手たちも、とてもハードに練習していて、チームのなかで激しいポジション争いが起きています。それが昨季とは大きく異なる点で、今季はチーム全体が成長しているのです」
 

前節に3点差の逆転負けを喫して悔し涙を流したメンバーが、その教訓を踏まえて今節は勝利の凱歌を上げた。
そんな構図が、およそ1年前にやはり3点差の悔しい惜敗に泣いたブラックラムズを相手に、成長ぶりを見せつけての見事な「リベンジ」となって再現されるのか。
次節のホストゲームは、グリーンロケッツ東葛の1年間の思いが詰まった熱い戦いになる!

 
(取材・文:永田洋光)


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POM尾又寛汰が語る「チーム愛」と「悔しさ」から生まれた決勝トライ - スポーツナビ (yahoo.co.jp)

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