NEC GREEN ROCKETS
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第13節 3/26(日) vsサントリー "チーム公式戦150キャップ達成のタッキーが愛される理由"

試合情報

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GR東葛、瀧澤直がチーム公式戦150キャップ達成!
~「僕が試合に出ることが親孝行につながる」と語るタッキーの愛される理由~

 
雨のなかでの東京サントリーサンゴリアス戦。
NECグリーンロケッツ東葛は、立ち上がりから激しく前に出るディフェンスで健闘。
2分にCTBクリスチャン・ラウイが先制トライを挙げ、1人ひとりがそれぞれの持ち場で自分の役割を果たして戦った。
しかし、前半終了を告げるホーンと同時にスクラムでサンゴリアスにフリーキックを与え、そこから攻められてトライを許し、7対15でハーフタイムを迎えることになった。
それまで3点という僅差で拮抗した攻防が続いていたのに――だ。
 
この試合が、グリーンロケッツ東葛での150試合目の出場となるPR瀧澤直がピッチに姿を現したのは、そんな流れで始まった後半の開始直後。43分のことだった。


直後にはPGで点差を詰めるチャンスがあったが、これは失敗。50分にはSHニック・フィップスが、渾身のジャッカルでピンチを防ぐなど、グリーンロケッツ東葛がホストの意地を見せたが、55分にLOジェイク・ボールが危険なプレーでイエローカードを受けると流れが暗転。
57分を皮切りに、サンゴリアスに3連続トライを奪われて、7対32で試合を終えた。
瀧澤の節目の試合を、強豪からの金星で祝うことはできなかったのだ。
それでも、試合後には、グリーンロケッツ東葛のメンバー全員がシルバーグレーのTシャツに身を包んで登場。胸に記された通り、瀧澤の150キャップを祝った。
記念写真には、瀧澤と同じ歳の弘美夫人を始め、サンゴリアスからも、いつもはトイメンとして瀧澤と激しくスクラムバトルを繰り広げるPR垣永真之介やSH斎藤直人ら、後輩にあたる早稲田大学ラグビー部OBが駆けつけて、大きな輪を作った。
「タッキー」の愛称で誰からも愛されるキャラクターを象徴するように、輪は大きく膨らみ、雨のなかに笑い声がはじけた。
まさしく瀧澤の人柄がにじみ出た温かなセレモニーだった。
 

「僕が150キャップとなったことで、チームのみんなが喜んでくれたり、それが試合に向けての小さなモチベーションになってくれれば、長くやってきた甲斐があるかな、と思っています。
だから今日は、自分のためというより、僕が今までいっしょにやってきた先輩たちや後輩たち、いろいろな人たちへ、僕からの感謝を表したかった。
僕自身の試合に取り組む気持ちは、今日が149試合目でも150試合目でも、あるいは1試合目だろうが2試合目だろうが、変わりませんから」
セレモニーを終えた瀧澤は、まずそう言って「感謝の気持ち」を表明した。
トップリーグ時代から長くキャプテンを務め、昨季もリーグワン初年度をキャプテンの立場で過ごした。「生まれつき」と本人が語る特徴的な髪型もあって、その存在は、グリーンロケッツ東葛のクルーだけではなく、ラグビーファンからも広く愛された。
この試合の前に場内に流れた動画でも、記憶に残る試合を尋ねられたときに、特定の試合を挙げることをせず、「1つひとつの結果に思い出がある」と話して、常にチームの歩みに触れることを心がけた。
キャプテン時代には、試合後の記者会見で、勝敗にかかわらず冒頭に試合の準備をしてくれた関係者への謝辞を必ず述べて、それがさまざまな個性的表現で為されたために記者たちからも好意を持って受け止められた。
オレがオレがと前に出るのではなく、常に周りを立てて物事のポジティブな側面に目を向ける発言が、誰からも愛されたのだ。
それが、「タッキー」という愛称が象徴する瀧澤のキャラクターなのである。
 
だから、終盤に入ったシーズン、これからどうチームにコミットしていきたいかを尋ねたときも、返ってきたのは以下のようなコメントだった。
「今はチームのなかの1人の選手というスタンスでいます。もちろん、長くいるので、僕にできることは、もしかしたら何かあるのかもしれませんが、それを自分から積極的に出すよりも、今いる選手たちが醸し出す雰囲気についていきたい。フォローできれば、と思っています。
それが、たぶん僕がチームに対してできることでしょう。
僕がチームを引っ張る時期はもう終わっていて、今はチームのなかで1人の選手として楽しめればいいのかな、と思っています。
それに、1人の選手としてパフォーマンスをもっと出すことにフォーカスしないと、試合に出られるかどうかもわからない。まだまだ選手として頑張ることが、チームに貢献することになるのではないかな。個人としても、それほど先は長くないので、毎日の練習を、頑張るのはもちろんですが、楽しんでいければ、というのが一番ですね」
 

そんな瀧澤を「今日はいっしょにスクラムを組んで祝いたかった」と話すのは、同じPRの土井貴弘だ。
ケガからの復帰途上でこの試合には間に合わなかったが、こんな話をしてくれた。
「今日の試合でも、タッキーが入ってから、前半とは全然違うスクラムになりました。ジェイクがシンビンになって7人で組んだときも、しっかり組んでいましたし。
タッキーは、もともと(スクラム以外の)フィールドプレーがすごく良くて、よく走るし、いつも助けられています。だから、今日は……いっしょに出たかったですね。
やっぱり、いっしょに試合をして、悔しい気持ちや嬉しい気持ちをともに味わいながら、150キャップをお祝いしたかった。そう思います」
キャプテンのレメキ ロマノラヴァは、記念撮影の輪がほどけると、弘美夫人とともに、愛知県から訪れた瀧澤の父・誠さん(69歳)と母・明美さん(68歳)のもとに駆けつけて、お祝いの言葉をかけた。
これもまた愛されるキャラクターを示すエピソードだ。
 

瀧澤が言う。
「両親は、今は人生の楽しみがこうやって試合を見に来て、そのあとでお酒を飲むこと。いっしょに見た周りの人たちと、お酒を飲むのが、オヤジの今の楽しみですから(笑)。
そういう意味では、僕が試合に出ることで、両親がラグビーを見に来る理由ができる。それも、1つの親孝行だし、今日もこうやって東京に来る機会を提供できて、恩返しできているのかもしれませんね」


そんな「親孝行」の機会も、今季は残り3試合。
その機会を実り多きものにするには、瀧澤本人がポジションをつかむことはもちろん、チームもしっかりと結果を残して、150キャップの功労者に報いる戦いぶりを見せなければならない。
そこに勝利の花を添えるためには、どういうことが求められるのか――。
雨に濡れた芝を顔に貼り付けたままのニックはこう言った。
「今日は雨でボールが滑ってビッグチャンスにミスが出たけど、そういうチャンスを作り出すことができた。だから、ミスをなくしてチャンスを確実にモノにすること。そして、とにかく今は1人ひとりが自分が果たすべき役割にフォーカスして、試合のなかで役割をしっかり果たす。そこに徹することが、チームの力を上げることになる」
 
1週間のバイウィークを挟んだ次節の試合も、柏の葉公園総合競技場でのホストゲーム。
相手は横浜キヤノンイーグルスだ(4月9日 14時30分キックオフ)。
グリーンロケッツ東葛は、サンゴリアス戦の前半に見せたような気迫で、クルーの感情を80分間通して昂ぶらせることができるのか――次節も注目だ!
 (取材・文:永田洋光)

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