GREEN ROCKETS
HERO'S TRAJECTORY #05
NECグリーンロケッツ東葛に入団して3年。キャプテンとして挑む今シーズンへの意気込みやチームの状況を、ニック・フィップスに語ってもらいました。
GR東葛での生活
ー入団して3シーズン目になりますがGR東葛はどうですか?
本当に居心地が良いチームです。みんなフレンドリーで、自分はもちろん自分の家族もたくさん助けてくれています。チームメイトだけでなく、会社や地域、CREWの方もファミリー感があり親しみやすいです。
それに我孫子市は、自分たちの小さな世界に入り込めるような場所で、住むにもラグビーをするにも最適です。
このチームに入団できとてもラッキーなことだと実感しています。
ーGR東葛には馴染みましたか?
はい!毎日仕事をしに来ることが楽しみです。GR東葛に関わる全ての選手・スタッフの人を全員が誇り思っています。
ものすごく多文化なチームですが、関係なくものすごく仲が良い。国籍関係なく友達になれてしまう環境も気に入っています。
―ニックさんはとても日本語が上手ですがいつから勉強していますか?
GR東葛に入団することが決まってから勉強し始めました。日本の文化をリスペクトしたいという気持ちで今も学んでいます。
ー海外のチームと日本のチームの違いを感じることはありますか?
日本のチームに感動しているところは、“誰かのために”プレーしているところです。
チーム・会社・地域の代表であることを自覚し、その方々のために責任を持ち、恩返しの想いでラグビーをしているところが純粋にかっこいいと思います。そういう伝統を大切にすることが日本の素晴らしい特徴だと思っています。それはゲームの真髄部分につながると考えます。
一つ勝つためには、一つ負ける必要がある
―この3シーズンはどんなシーズンでしたか?
加入して1年目でディビジョン2に降格してしまいましたが、正直残留はできるチャンスはあったと思います。
ただ、負けて良い試合はありませんが、ポジティブに考えると必要な負けだったのではないかと今振り返ると思います。
―それはなぜでしょうか?
オーストラリアのスポーツ界では「一つ勝つためには、一つ負ける必要がある」という言葉があります。
まさにGR東葛は勝つために必要な経験をして学んできたと思っており、今年こそ昇格に向けチーム全員が情熱を持ち、闘志を燃やして取り組み、良い準備ができている印象です。
ーチームが良い方向に向かっているということですね。
そうですね。
チームの方針として、リーグワンの選手になりたくてもなれない選手がたくさんいる中で、自分たちはとても恵まれた環境でラグビーができていることに感謝し、ラグビー選手としてラグビーに全てを注ぐことを惜しまない集団であることを大切にしています。
今それができているのは、コーチ陣が良いトレーニングを継続できるようにしてくれていたり、シニアプレーヤーが高いスタンダードをドライブしてくれているお陰だと思います。
また、若い日本人選手が著しく成長していて、ちょっとおバカなスクラムハーフ後輩2人の成長は個人的に嬉しいです。(笑)
ー2人はどんな後輩ですか?
タツ(藤井達哉)はものすごくスキルフルな選手で、ゲームの読み方も上手です。サイズは小さいけれど、気持ちや使えるスペースでサイズをカバーできる選手です。とても頼れるし、同じフィールドでプレーしていて絶対に足を引っ張らない選手だと思います。
ーマル(丸尾祐資)は?
彼を見ていると自分がプレーし始めた時のことを思い出します。
ハーフはミスをして学ぶと思っており、マルがゲームコントロールするために学んでいる姿勢と成長曲線は、まるでロケットのように上昇しています。
それと、マルだけではなく、社員と選手を両立している全社員選手を本当に尊敬しています。
スクラムハーフ(藤井達哉、ニック・フィップス、丸尾祐資)
キャプテンとして
ーキャプテンはどのように選出されましたか?
昨シーズンの納会のあとに、ウェインヘッドコーチから考えているよという話がありました。
その話があった時は正直ためらいと不安がありました。なぜなら、マノさん(現三重H:レメキロマノラヴァ選手)がいなくなり、彼がチームにどれだけ信頼されていたかを近くで見ていたからこそ、埋める穴が大きいことはわかっていましたし、それを満たせるかなという不安がありました。
ー引き受けようと思ったきっかけは?
チームを牽引することに1番影響力はあるのはキャプテンと考えると、このチームをどう引っ張っていくか考えた時に非常にワクワクしました。このチーム全体としてのポテンシャルは多いにあるし、その力を最大限活かせるまであと少しのところに来ていると感じます。
このような機会に感謝して、必要とされているならやろうと思いました。
―キャプテンを務めるうえで気を付けていることはありますか?
自分自身“、少しでも毎日良くなる”ということをモットーにしています。それを体現しチームメイトにも浸透させ、少しずつ成長できればと思っています。
またキャプテンとして、時にはみんなが望まない判断をしなければならないこともあるし、背負うものもたくさんあります。チームが上手く行っている時はみんなのお陰、もし上手くいってなければ自分が背負う、というマインドと覚悟でやっています。
―ニックさんの目指す場所、またどんなシーズンにしたいですか。
ディビジョン1に全員で昇格したいです。そのために全員でハードワークし、高いスタンダードをドライブし続けたいです。
ディビジョン1に昇格しますと言葉にすることは簡単ですが、そのためには多くのことを犠牲にしなければなりません。そのくらい容易なことではないと思います。
結果もしかりですが、見ている人に認めてもらえて、初めてその目標が達成できたといえると考えます。そのために“毎日少しでも良くなる”よう、今できる最善を尽くします。
そしてこれから先の運命は自分達で変えることができるので、一生懸命努力し、時によってはチャンスを逃さず大切にシーズンを過ごしていきます。
―最後に意気込みをお願いします。
これまで、選手・スタッフ・チームに関わる全ての方々の力を合わせて勝利できたことがたくさんありました。
それは、チームや地域への情熱を持っている人が集まっているからだと思います。
素晴らしい環境を力に、正しい方向に向かっていけばおのずと結果はついて来るはずです。
ディビジョン1に昇格することが自分の目標であり、チームを良い方向に牽引するためにハードワークしています。
そして、NECの代表としてプレーできることに誇りを持ち、皆さんに応援してもらえるようなチームにしたいです。
いつも謙虚で思いやりがあり、時には厳しくチームを鼓舞し、そして誰よりもハードワークし続けるニックは、ラガーマンである前に人間として素晴らしい人格者である。GR東葛の自慢のキャプテンだ。
今季ニック・フィップスキャプテンを筆頭にディビジョン1昇格に向けた戦いが始まる。
【取材・文:有馬清香】
~おまけ~
取材日、コーヒーとパンを差し入れに持ってきてくれました。
リラックスできるようにと通訳と広報にも気を遣ってくれるニックさん。本当に彼は最高な選手です!!
ニック・フィップス(Nick Phipps)
1989年1月9日、オーストラリア生まれ。ポジションはスクラムハーフ。
オーストラリア代表72キャップ。
2022年にNECグリーンロケッツ東葛に加入。
【C】ニック・フィップス | スタッフ | NECグリーンロケッツ東葛公式サイト