NEC GREEN ROCKETS
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第7節 2/05(日) vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ マッチレポート

試合情報

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NECグリーンロケッツ東葛にとって約1か月ぶりのホストゲームは、0対45と大差で敗戦を喫し、開幕から6連勝とリーグを席巻する王者・埼玉パナソニックワイルドナイツの圧倒的な力をまざまざと見せつけられる形となった。
 
「1点も取れずに終わってしまったので、僕がもっと声をかけたら良かったと思います」
試合後、そう反省の弁を口にしたのは田中史朗である。
 
日本代表として75キャップを誇り、過去3度のワールドカップ出場経験を持つスクラムハーフは、今節の埼玉WN戦が今季の初出場となった。
出場機会がなくともチームにおける田中の存在感は絶大だった。若手選手たちは田中のラグビーに向かう姿勢や、グラウンド外の振る舞いから多くを学び、それを成長の糧にしている。彼の日々の姿勢や振る舞いについては、ロバート・テイラーヘッドコーチも「田中選手の影響力は大きく、チームが良くなるように日々やってくれている、GR東葛にとってはすごく大切な選手」と称賛の言葉を述べた。
 


田中が投入された後半19分の時点で、スコアは0対38と大きく開いていた。意気消沈のチームに対し、グラウンドに立った田中は仲間を鼓舞した。
「特にフォワードに声をかけてエナジーをもっと持ってもらうようにしました。自分の役割は声をかけること。僕も今までの人生で負けたことはいっぱいありますし、ハイランダーズの1年目はずっと負けていました。そういうときにどう声をかけるか、チームをどういうふうにアップさせるかというのは自分の経験から落とし込みたいと思います」


 
後半34分には尾又寛汰のランからGR東葛が一矢報いるトライを決めたかに見えたが、TMOの結果ノックオンの判定となり、GR東葛は前節に続き2試合連続で無得点に終わった。試合全体を通じても、5メートルラインを超えるエリアまで攻め込む場面は何度かあった。しかしあと一歩インゴールには届かなかった。田中は「集中力が足りなかったので、もっと練習中から口を酸っぱく言って、トライを取り切る意識を持ってもらいたい」と苦言を呈し、さらに前後半の立ち上がりに失点が多い点についても「スイッチが入ったときのディフェンスはしっかりできているけど、前半始めにポンポンと取られてしまったようにスイッチが入るのが遅い」と言い、攻守両面におけるチームの課題を指摘した。GR東葛が改善すべき点は多い。
 
前述のとおり、2013年のハイランダーズは負けが込み、田中は苦しいシーズンを経験した。しかし2年後の2015年、ハイランダーズはスーパーラグビーで優勝を成し遂げている。つまり田中は「どん底から這い上がり、チャンピオンになった」という稀有な経験を持つ。
 
GR東葛は数多の激闘をくぐり抜けてきた名手から、この先も様々なことを学び得る。この苦境を乗り越え、強いチームになるために。
(取材・文:鈴木潤)
 


スターティングメンバーなどはこちらよりご覧ください。
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リーダーたちが見たピッチの景色

「メンタルのスイッチを80分間オンにし続けないと強いチームには勝てない!」
 ~グリーンロケッツ東葛がワイルドナイツから学んだ勝利への教訓とは?~

NECグリーンロケッツ東葛が、ホストスタジアム柏の葉公園総合競技場のクルーを大きく沸かせた場面は2度あった。
最初が、試合開始のキックオフ直後。
埼玉パナソニックワイルドナイツのファーストアタックからボールを奪うと、そのまま攻勢に出て、5フェイズ目にWTB尾又寛汰が大きくゲイン。トライの予感が漂った場面だ。
しかし、8フェイズ目でノット・リリース・ザ・ボールの反則をとられると、そこから同じ反則を繰り返し、15分間で2トライ(2コンバージョン)1PGを奪われて0対17と劣勢に立たされた。
 


2度目は、残り時間がわずかとなった後半の73分過ぎ。
ワイルドナイツ陣の22メートルラインを越えた辺りのラインアウトから、途中出場のWTBタンゲレ・ナイヤラボロにボールを持たせ、ナイヤラボロが巨体を活かしたオフロードパスをCTBクリスチャン・ラウイに通して、ラウイが突破。さらにフェイズを重ねて左へ展開。
SO前田土芽が前に出たところにキャプテンのWTBレメキロマノラヴァがサポート。
レメキが尾又にパスを通して、尾又がインゴールにボールをつけた――と見えた場面だ。


第5節の横浜キヤノンイーグルス戦の前半28分から数えて205分。
グリーンロケッツ東葛がトライを奪ったと確信したクルーが、この試合で最大の手拍子を鳴らしてフィフティーンを鼓舞した。
しかし、尾又のグラウンディングがTMOに持ち込まれ、トライの前にボールが手から離れたと判定されて、手拍子はため息に変わる。
このワイルドナイツ戦は、言い換えれば、その間、前半終盤の防御で粘りを見せた場面を除いてクルーの手拍子も長続きせず、ボールを圧倒的に支配したワイルドナイツの独壇場。
反撃に転じるためのボール獲得も思うようにならず、59分にリザーブ登録のNo8ジョージ・リサレ、SH田中史朗がピッチに入るまで、なかなか見せ場を作れなかった。
 


今季、これが初登場となった田中は、そのときの気持ちをこう話す。
「チームにインパクトやエナジーを与えることを意識してピッチに入りました。前半は、最初にポンポンとトライを獲られましたが、その後はしっかり我慢してハーフタイムまで得点を与えなかった。でも、みんながちょっと疲れた印象だったので、僕が声を出して、みんなのエナジーを上げようとしたのです」
その結果が、リサレが随所に見せた力強い突進であり、田中の差配でボールを動かしてのアタックだった。
「でも」と、田中は言葉を継いだ。
「そこでトライを獲り切れなかったのが、僕たちの弱さなのかな……。今、チームでは『ロケットスタート』という言葉で立ち上がりに集中しようとしているのですが、最初につかんだチャンスも、しっかりトライを獲り切れなかった。チャンスにトライを獲り切る力が、今は必要ですね」
田中の言葉通り、グリーンロケッツ東葛は試合終了までアタックを続けたが、ついにゴールラインを割ることができず、前節に続いてこの試合も0対45とシャットアウトされた。
これで212分間も無得点が続いているのだ。



トライが獲れない事実に大きなフラストレーションを抱えているのがキャプテンのレメキだ。
こう言ったのだ。
「今季の最初の4試合はアタックが機能してトライを獲れたけど、ここ3試合では7点しかとれていない。しかも、2試合続けてシャットアウトされている。せっかくラインブレイクしているのに、最後までボールをつなぐことができない場面が多い。相手のプレッシャーを受けてミスをするか、反則して終わってしまう。
みんなメッチャ頑張っているし、チームにはいい選手もいるけど、チャンスを確実にものにしないと、試合に勝つのは難しい。みんなもフラストレーションが溜まっているだろうけど、頑張っているだけでは足りないのが、リーグワンのレベルなんだ」
 


そして、1週間のインターバルをおいて18日に迎える第8節トヨタヴェルブリッツ戦(パロマ瑞穂ラグビー場 14時30分キックオフ)以降に向けて、こう課題を指摘する。
「まず、エリアマネジメントを徹底して次の試合に臨みたい。いつランするのか。いつキックを蹴るのか。それを明確にしたい。
今日は、自陣でボールを回す時間がメッチャ多かったけど、その結果、ワイルドナイツの防御が前に出てきて、背後にスペースができた。でも、そこでキックを使わずにボールを回して、タックルされる場面が多かった。だからキツかった。FWもキツかったと思う。もっとキックを使ってエリアを獲得しないと難しいよ。
それから、大事な場面でイージーなミスが多い。後半の立ち上がりも、キックオフを捕って最初のパスでノックオン。そして、スクラムから攻められてトライ――そういう場面をなくさないと。これは、練習ではなく、意識の問題。集中力が切れると、そういう細かいミスが出る。
まずは、自分の意識を変えて、1つひとつのプレーに集中しないと。メンタルのスイッチを、80分間オンにし続けないと、強いチームには勝てないからね」
 
田中も同様に「意識」を変えることが必要だと話す。
「ヴェルブリッツ戦に向けて、意識を変えないと。チャンスにトライを獲り切る意識。そして、相手にトライを獲られても、頭を切り換えて次のプレーに集中すること。今日も、後半の途中までは簡単にトライを獲られていた。その後で僕が入って声をかけると、また意識が変わってきた。80分間戦い抜くフィットネスと、メンタルの部分を練習のときから鍛えていきたいですね」

ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)は、ヴェルブリッツ戦から三菱重工相模原ダイナボア―ズ戦(26日 秩父宮ラグビー場 12時)、リコーブラックラムズ東京戦(3月4日 柏の葉公園総合競技場 12時)と続く3試合を「重要な3連戦」と位置づけて、必勝を期す。
 


「これからの課題はディフェンスです。今日も、ワイルドナイツがボールを持つとトライに結びつけられている。ディフェンスが常にもっとも重要なのです。そして、その次がアタック。ワイルドナイツはリーグ屈指の防御力を持つチームですが、アタックで彼らの堅い防御を崩せなかった。
それから、基本的なミスを減らさなくてはならない。セットプレーでも、圧力を受けて良いボールを獲得できなかった。つまり、すべてにおいてもっとレベルアップをしなければならない――と学んだのが、昨季のチャンピオンと戦った教訓でした。
だから、次の重要な3連戦に向けて、ディフェンスも、アタックも、そして戦い方の基盤となるベーシックなスキルも、もう一度見直さなければならない。
幸い1週間のインターバルがあるので、その間に、これまでハードワークを続けてきた選手たちがリフレッシュする必要がある。特に、FWの主なメンバーやキャプテンのマノは、これまで試合に出続けてきたので、頭と身体を一度リセットして、フレッシュな気持ちで次の3連戦に向けて準備をして欲しい」
そして、これからの注目選手としてリサレとラウイの名前を挙げる。
「リサレは、ケガで戦列を離れていましたが、今日は彼がサイズを活かしたプレーをしてくれた。彼のような力強いプレーがチームには必要です。
来るべき3連戦ではラウイも注目して欲しい成長株。今日もいいキャリーをしてくれました。尾又も今日はいい走りを見せてくれましたね」
 


果たして、グリーンロケッツ東葛は、18日から始まる「重要な3連戦」で結果を残し、上位浮上への足がかりをつかむことができるのか――。
テイラーHCはこう約束する。
「ヴェルブリッツ戦に誰を起用するかは、今後のセレクション次第。じっくりと選手を見極めて、ベストの布陣で臨みます!」
クルーは今、ベストのパフォーマンスで胸のすくようなゲームを熱望している!
(取材・文:永田洋光)



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