NEC GREEN ROCKETS
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第7節 2/26(土) vs 静岡ブルーレヴズ マッチレポート

試合情報

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初勝利ならずも、テイラーHCはチームに芽生えた「明るい兆し」に注目!
 


「勝てたゲームだった……」
そう言って天を仰いだのは、ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)だ。
トライ数はともに同じ5対5。だが、スコアは27対34。7点差以内の負けに与えられる勝ち点1はゲットしたものの、NECグリーンロケッツ東葛が、ホストスタジアムで目指した「初勝利」にはわずかに届かなかった。
「前半終了間際と後半立ち上がりにトライを奪われて、リードを追う展開になってしまった。キックオフを蹴り込んでからどうするか、相手のキックオフを受けてどうプレーするのか、そういう点でしっかりとプレーを実行しなければならないのですが、これまでもチームのなかで話し合い、準備を重ねてきたにもかかわらず、正確に実行できなかった。それが技術的な要因からくるのか、メンタル的なものなのか、もう一度ゲームを細かく分析して対応します」
テイラーHCはそう述べてから、「ただ……」と言葉を継いだ。
「コンディションが整わないなかでも、選手たちは良くプレーした。悔しい思いをしながらも、チームに成長が見られることは明るい兆しです」
確かに明るさは兆している。
この静岡ブルーレヴズ戦では、今季から加入のSH藤井達哉が、途中出場ながら初キャップを獲得。試合終盤にアタックのテンポを上げて、追撃をお膳立てした。
同じく、今季加入のCTBギハマット・シバサキも、再三の好走を見せてチャンスを作った。
開幕戦で、本職のHOではなく、FLとして途中出場して初キャップを獲得した新井望友も、この試合では初めて背番号2をつけて先発した。
ディビジョン1のハイレベルなゲームが続くなかで、互角に戦うだけの下地は整いつつあるのだ。
あとは――と、テイラーHCは続ける。
「細かいところでの実行力と判断力に磨きをかけるだけです」
 


グリーンロケッツが、クルーたちにエナジーを注ぎ込んだのは、0対7とリードされた14分だった。
ブルーレヴズ陣の密集で、瀧澤直キャプテンが腕力で相手が持ち込んだボールをもぎ取り、ターンオーバー。そのまま前進してチャンスを広げ、WTB宮島裕之がゴールラインへと迫る。
宮島はタックルを受けながら、内側にサポートしたFL大和田立にパス。大和田はボールが手につかなかったが、さらに内側をサポートしていたFBトム・マーシャルがキャッチ。無事、トライに結びつけた。



18分には、ラインアウトのボールを確保すると、スロワーの新井が回り込んでバックスに供給。シバサキが鋭いカットインで抜け出し、それを宮島→SH山田啓介とつないでトライを奪い、10対7と逆転する。




ブルーレヴズにトライを許して10対12と逆転された29分には、やはりラインアウトから同じように新井がパスを送って、シバサキがクリーンブレイク。そこから11フェイズにわたってアタックを継続し、最後はSOレメキ・ロマノ・ラヴァからパスを受けた大和田がトライに仕上げた。


その後、ブルーレヴズに3トライを奪われ、15対31と16点差を追う展開になったものの、61分には自陣ゴール前のスクラムからNO8ジョージ・リサレがボールを持ち出してアタック。CTB児玉健太郎がマーシャルにつないで22メートルラインを越える。今度は、そこから左に回してシバサキがブレイク。ピッチに入ったばかりの藤井が、サポートする。

シバサキは、ハーフウェイラインを越えたところで藤井にパス。藤井は冷静に、いいスピードで右側に走り込んできたレメキにパスを送る。完全なトライチャンスだ。
しかし、藤井のパスはブルーレヴズの選手にはたき落とされて通らず、こぼれ球を拾ったマーシャルから児玉→WTB後藤輝也とボールはつながったが、トライとはならなかった。
このプレーが、レフェリーの判断でTMOにかけられ、ブルーレヴズの選手が故意にボールをはたかなければトライになったと判定されて、グリーンロケッツにペナルティトライが与えられる。この7点で、再びクルーの張り扇が鳴り出した。元気が注入されたのだ。




スタンドから送られる熱い“念”を受けたグリーンロケッツは、ブルーレヴズの堅守に阻まれながらも諦めずにアタックを継続する。
74分には、宮島のカウンターアタックからボールが逆サイドの後藤まで回り、後藤のグラバーキックでゴール前に攻め込む。レメキが身体を張って確保したボールは丁寧に左へ回され、最後はシバサキからパスを受けたマーシャルがトライに仕留めた。
16点差が、ついに4点差へと縮まったのだ。


最終的には、続くリスタートからのアタックでボールを失い、PGを献上して試合が終了したが、誰もが最後まで勝負を諦めることなく、初勝利を目指して戦い続けた。
それが、テイラーHCが言う「明るい兆し」だった。
 

「確かに要所でいいプレーができた手応えはありますが……」
前半に、2つのトライに起点となったラインアウトで大切な役割を果たした新井は、そう言ったあとで課題を挙げた。
「ラインアウトでミスをしたり、細かいところでミスをしてしまった。だから、良いプレーよりも、むしろ修正点の方が自分のなかに残っています」
新井は今季、「僕の夢」として抱いていた「このレベルでの試合出場」を果たしたが、それでもこんな思いを抱いている。こう言うのだ。
「スクラムは、自分のなかでまだまだ未熟という自覚があります。だから、同じポジションの川村慎さんやタッキー(瀧澤)さん、土井(貴弘)さんにいろいろアドバイスをいただいて、きちんと自分のものにできるようインプットしているところです。ラグビーは、スクラムやラインアウトといったセットプレーが得点の起点になることが多いので、その点を自覚してプレーしたい。自分が成長するためにも、そうしたことを意識しながら、日々トレーニングを積み重ねるしかないと思っています」
その上で、「僕は、他のFW選手に比べれば体格も重さもないので(身長171センチ、体重91キロ)、人の倍以上動くこと、どんなに大きな相手にも常に低くタックルに行くこと。そして、アタックでも、姿勢を低くすることを、常に意識しています」と、続ける。そうした強みを伸ばすことが、試合に出ることにつながるからだ。
 

試合出場に飢えていたのは、藤井も同様だった。
「ピッチに入るときは、試合の流れを変えようと思っていたのですが、久しぶりの大舞台だったので緊張しました。練習試合とはまったく違う感覚でしたね」
それでもベンチからじっと戦況を見つめて、「自分の持ち味は、テンポと速さ。前半の終盤辺りから相手が疲れていると感じていたので、もっとテンポを上げれば、外にスペースができる」と、ピッチに入ってからやるべきことを考えていた。
初キャップを経た今は、これからのシーズンに向けてこんな思いを抱いている。
「自分が仕掛けることでスペースが生まれるから、もっと自分から仕掛けてもいいかな、と思います。いい形でチームを動かして、トライを導きたいですからね。チームは、今はまだ結果が出ていませんが、練習でも試合でも、だいぶ成長してきたと思います。あとは、もう少しプレーの精度を上げて、相手に簡単にトライを与えないようにしたい。こちらも簡単にトライを獲っているのですが、そのあとで相手に簡単にトライを奪われては意味がないので、ディフェンスでのコミュニケーションや、細かい部分をもっと突き詰めていきたい」

 
この試合でチャンスメーカーの役割を再三果たしたシバサキも、日々学ぶことに貪欲だ。
高祖父(曾祖父の父)が日本人のシバサキは、13人制のラグビーリーグ出身。13人制は、アメリカンフットボールと同じように、ボールを持った選手がタックルされて地面に膝をついた時点でプレーが止まる。つまり、15人制のようにラックを経てプレーがどんどん続くような継続性は、今季グリーンロケッツに加わって初めて経験したのだ。だから、今は15人制での動きに習熟すべく、「猛勉強中」なのである。
「僕は、試合ではいつも、ハードにタックルをして一所懸命走り続けることにフォーカスしています。特にボールを持ったときは、必ずゲインラインを越えようと思っています。僕の役目はチームを前に出して、勢いを与えることですから。今日はホストゲームで、いつもコンスタントに応援してくれるクルーたちに、応援して良かったと誇りを持ってもらえるような結果を残したかったのですが、勝つことができなかった。それが本当に残念です」
 
こうした若手の向上心がチームのムードを押し上げているからこそ、テイラーHCは「成長」と「明るい兆し」を感じ取っているのだろう。だから指揮官は、次節のリコーブラックラムズ東京戦(3月6日 秩父宮ラグビー場 14時30分キックオフ)に向けて前を向く。
「今週はとても良い準備ができて、それが試合に現れた部分もたくさんありました。ただ、ゲームの重要な部分で細かいミスが出て、相手を上回ることができなかった。そうした部分を修正し、経験豊富なベテランたちも交えて、次節は1ポイントではなく4ポイントを取りに行きます」
今季初めてピッチの上でつかみとった1ポイントを弾みに、グリーンロケッツは初勝利をつかみ取れるか――次節は「聖地」秩父宮に、今季初登場だ!


スターティングメンバーなどはこちらよりご覧ください。

リーダーズコメント

ロバート・テイラーHC

今日は悔しい思いの残る、勝てたゲームでした。
チームは今、勝つためにはどうすべきなのか、非常にタフなレッスンを受けているところです。
ディレクター・オブ・ラグビーのマイケル・チェイカさんからは、先週、「無理な形でトライを獲りにいこうとしているように見えるところがある」というフィードバックがありました。
今日の試合でも、全体的に見ればアタックは非常に良かったのですが、チャンスで小さなハンドリングエラーが起こって、トライに至らなかった場面がありました。
ここは何が何でもトライにするんだと1人で頑張るのではなく、アタックのなかで、もう少し冷静に我慢を重ねて相手を崩すことを学ぶ必要があります。もちろん、練習の段階から注意はしているのですが、チャンスになるとつい興奮して、我慢ができなくなってしまう。そうではなくて、無理をせずにプレーを継続すれば、いい結果がついてくると信じること。これまでの失敗や、上手くいったことを振り返りながら、そうしたことを学ぶ必要があるのです。
ただ、チームに成長が見られることは明るい兆しです。
ジェイク・ボールをはじめ、主力選手のコンディションが整わないなかでも、選手たちは良くプレーしましたし、アンストラクチャーな(相手の防御システムが崩れた)状況からのアタックにも、いいものが見えてきました。
あとは細かい個々の場面での判断力と実行力が身につけば、もう少しゲームをコントロールできる。これまではチームとしての方向性を定めることに力を注いできましたが、これからは、1人ひとりのプレーの傾向や問題点を見ながら、細部を修正していきたいと考えています。
今週は、とても良い準備ができて、それが試合に現れた部分もたくさんありました。
だから、修正点を修正し、経験豊富なベテランたちも交えて、次節は1ポイントではなく4ポイントを取りに行きます。

(取材・文:永田洋光)

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