NEC GREEN ROCKETS
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第10節 3/19(日) vs NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 マッチレポート

試合情報

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“Small Detail”=「細部」を詰め切れなかったグリーンロケッツ、勝ち点1獲得にとどまる! 

 

喉から手が出るくらい欲しい“実戦での初勝利”。 

追いかけるのは5点差だ。 

残り時間が刻々と少なくなるなか、NECグリーンロケッツ東葛は懸命に攻めた。 

小雨が降る天候は、ボールを動かすアタックが持ち味のチームにとって、ボールも足元も滑りがちで決してベストとは言えないコンディションだ。けれども、そうしたハードルを乗り越えてこそ、勝ち名乗りを上げるにふさわしいパフォーマンスと言える。 

だから、攻め続けた。 


ゲームキャプテンのレメキ・ロマノ・ラヴァが「決勝戦」と位置づけたNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦の最後の5分間は、そんな気持ちが入った場面の連続だった。 

 

残り5分となった75分。 

グリーンロケッツは自陣からアタックを仕掛けようとして攻めたロングパスを使い、それがノックオンとなって貴重なマイボールを失った。 

しかし、次のプレーで、途中からCTBに入った児玉健太郎が渾身のタックルを見せてレッドハリケーンズのアタックを押し戻し、反則を誘う。 

失ったボールは厳しいタックルで取り戻せばいい――そんなシンプルなラグビーの原理を実践したのだ。 


続くラインアウトでは、こちらも途中出場のHOアッシュ・ディクソンのスローイングが定まらず、ボールを失いかけた。弾んだボールに必死の形相で走り込み、確保したのはCTBマリティノ・ネマニだった。ネマニは、そのまま力強く前進。そこに、相手のタックルが首にかかって危険なタックルと判定され、ペナルティを得た。 


この時点で時計は77分を回っている。  

位置はポスト正面。 

PGを狙えば3点は確実に見込めるが、成功しても、勝利には2点届かない。 

が、続くリスタートからアタックを仕掛けて一気に相手陣に攻め込めば、トライを奪えばもちろん、反則を誘ってのPGでも、あるいはプレー中にボールをバウンドさせてゴールを狙うDGでも、勝利を手中にできる。 

とはいえ、残り時間は3分を切っている。

リスタートからのアタックでボールを失えば、その時点でほぼ負けが決まる。 

そんな難しい状況でグリーンロケッツが下した結論は、スクラムを選択してのアタックだった。 

実は、この試合では、67分にレッドハリケーンズのスクラム専門職であるフロントローに負傷者が出て、それ以降はお互いに押し合わない「ノンコンテスト・スクラム」となっていた。 

だから、マイボールを失うリスクはゼロ。アタックの起点としては一番確実だ。 

一方で、ノンコンテストでは、アタックが有利に進められるようにスクラムを押し込み、相手の防御ラインを押し下げることができない。それでも、バックスで仕掛けて防御に穴をうがち、そこから勝利をつかみ取ろうという意図だった。 

しかし、4つめのラックでボールキャリアが、厳しいタックルを受けて孤立しかける。 

LOジェイク・ボールが急いでサポートに入ったが、横からラックに参加したと判定されてペナルティを取られた。 

残り時間は2分を切っている。 

スタンドのレッドハリケーンズのサポーターから安堵のため息が漏れる。 

けれども勝利の女神は気まぐれだった。 

今度はレッドハリケーンズが、ラインアウトのスローイングをまっすぐ入れられず、残り1分を切った時点で、再びグリーンロケッツのスクラムとなる。 

スクラムにボールが投入されたときに時計は79分39秒を示していた。 

このアタックを完成させてトライを奪えば同点に。 

さらにコンバージョンも決まれば、勝利が転がり込む。 

逆にアタックが途切れれば、その時点で試合が終わる――。 

 

グリーンロケッツは、女神の顔をこちらに向かせるべく、ボールを動かした。 

SH田中史朗からネマニへ。ネマニからSO金井大雪の手を経て、ボールがFBトム・マーシャルに渡り、そこでラック。今度はジェイクが防御にくさびを打ち込み、さらに左へ展開。金井→ネマニ→児玉とつないで再びマーシャルが防御に切り込む。 

これで10メートルほど前進したが、ボールがマーシャルに渡る直前に試合終了を告げるホーンが鳴った。 

もはや1つのミスも許されないグリーンロケッツは、ディクソンにボールを持たせて揺さぶりにかかる。 

しかし、その時点でレッドハリケーンズ防御は崩れておらず、ディクソンは狙い澄ましたタックルを見舞われ、押し戻されて孤立。懸命にサポートに駆け寄ったが、レフェリーがノット・リリース・ザ・ボールの反則を告げる笛を吹いた。 

10対15。 

またもや、勝利の女神はグリーンロケッツに微笑まなかったのだ。 



「今日は、雨というコンディションは関係なかった。競技場も素晴らしかったし、完璧な環境だった。ただ、試合の細かい部分で上手くいかないことが多くて、勝負に負けてしまった」 

そう振り返ったのはネマニだ。 



前半10分には、防御を3人弾き飛ばす豪快なランでロングゲイン。自陣に押し込められた苦しい時間帯から攻勢に転じるきっかけを作った。直後に、タックルを受けながら味方にボールを渡すオフロードパスを試みてノックオンをとられ、「少し気合いがから回りしたのかもしれない」と反省したが、続くスクラムではFWが奮起。ペナルティを得て、金井の先制PGに結びつけた。 

しかし、ネマニが豪快なランを披露する場面は、決して多くなかった。 

「せっかくアタックしても、ペナルティを重ねてボールを失い、いつの間にか自陣に押し戻されていた」と話したように、いい時間帯が細切れになってしまったからだ。 

「今日は、チームとしての仕上がりは良かったけれども、“small detail”が良くなかったね」 

“small detail”を意訳すれば、「神は細部に宿る」とでも言えばいいのか。 

細かいディーテイルで正確さを欠いたことが、悔しい負けにつながったと考えているのだ。 

 


前半に、マーシャルからのキックパスを追走し、インゴールに転がるボールを押さえて唯一のトライを記録した後藤も、細部でフラストレーションが溜まる試合だったと振り返った。 

「今は、チーム全員に、それぞれゲームのなかでやることがしっかり決まっています。だから、まず1人ひとりが自分の仕事を確実にやり切ることが大切なのに、今日は、細かいところでやるべきことができていなかった。それで、ちょっとフラストレーションが溜まりましたね」 

今季は、この試合でまだ通算2トライだが、その分、アタックだけではなく、キック処理に、ディフォンスにと、グラウンドの至るところに顔を出して、目立たない場面でもチームを支えている。 

それも、チームのゲームプランに合わせた結果だと、後藤は話す。 

「今季は右WTBという定位置にずっといるのではなく、ボールが動くなかでいろいろなところに顔を出して欲しいと言われています。だから、サイドにこだわらず、オープン側にボールをもらいに行ったり、もう一度定位置に戻ったりする機会が増えました。(男子7人制日本代表でチームメイトだった)レメキも、僕のアタック力を信頼してくれるので、けっこう多くボールを回してくれます。そういう意味では、ボールを持つ機会が少し増えたと思いますね」 

そして、こう続けた。 

「グリーンロケッツのバックスは、リーグワンでもけっこう高いレベルにあると思っています。だから、今日もボールがクリーンに回ってくれば、という気持ちでプレーしていました。でも、タテに力強いプレーでゲインラインを切らないと、いくらバックスにボールを回しても、相手のディフェンスはそれほど苦しまない。アタックで前に出られていないから、サポートも遅れて難しくなるんです。後半は特に、そういう部分があったと思いますね」 

 

同じことは、ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)も指摘した。 

「ラグビーでは、相手防御に圧力をかけられたチームが、なんとかトライを獲ろうと試みて、さまざまな仕掛けをしますが、仕掛け過ぎるとかえって相手のプレッシャーを受けることになる。これは、今季を通じて言えることですが、グリーンロケッツは、ついつい無理な仕掛けをやり過ぎてしまう。もっと落ち着いてゲームを組み立てなければなりません」 

こうした短所を克服することが勝利への道筋をつけることにつながる、と言うのだ。 

 


次節は、柏の葉公園総合競技場に戻ってのホストゲーム。意図したような“凱旋試合”とはならなかったが、トヨタヴェルブリッツとの対戦が待っている(27日 14時30分キックオフ)。 

その大切なヴェルブリッツ戦に向けて、今季、チームに勝者の文化を根付かせるために加入した田中は、こんな心構えが必要だと話す。 


「今日は本当に勝たないといけない試合を落としてしまったのですが、まずは次節に向けて、気持ちを切り替えないといけない。自分たちのいい部分をもっと伸ばせるように、僕もしっかり声がけをしながら、リーダー陣を中心に、チームを作っていきたいと思います」 

第7節からの直近4試合中3試合を7点差以内で競り負けた事実は確かに厳しい現実だが、それでも着実に勝利に近づいていることを示す兆しと見ることもできる。 

果たしてグリーンロケッツは、惜敗が勝利のプレリュードであることを、ホストエリアのクルーにアピールすることができるのか――次節は、意を決した戦いが求められる! 

 

スターティングメンバーなどはこちらよりご覧ください。



リーダーズコメント

ロバート・テイラーHC

今日の気象条件や、両チームともペナルティが多かったことを考えると、スコアで優位に立った上で地域を獲り、こちらがアタックを仕掛けるよりも相手に攻めさせてディフェンスし、相手からペナルティをとるような戦い方をした方が良かったでしょう。その点では、グリーンロケッツがボールを動かし過ぎましたね。 

特に後半は、相手のディフェンスからプレッシャーをかけられていたにもかかわらず、ボールを動かし過ぎました。もっとキックを使って、相手陣でレッドハリケーンズにプレッシャーをかけたかったのですが、逆に、レッドハリケーンズにそういうラグビーをやられた印象です。だから、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪局面)でレッドハリケーンズに仕掛けられて、それが反則の多さにつながったのだと思います。 

一般に、ラグビーでは、相手防御に圧力をかけられたチームが、なんとかトライを獲ろうと試みて、さまざまな仕掛けをしますが、仕掛け過ぎるとかえって相手のプレッシャーを受けることになります。これは、今季を通じて言えることですが、グリーンロケッツは、ついつい無理な仕掛けをやり過ぎてしまう。もっと落ち着いてゲームを組み立てなければなりません。 

グリーンロケッツは今、そうしたことも含めて、厳しい実戦から勝利をつかむための方法論を学び、勝つための土台をチームに根付かせようとしているところです。 

次節のホストゲームに向けても、早く気持ちを切り替えて、準備にかかります。チームにとって、今は次の試合にフォーカスすることが何よりも大切なのですから。 

 

 

レメキ・ロマノ・ラヴァ ゲームキャプテン 

今日は、最初の10分で足を痛めて、自分らしいプレーを何もできませんでした。 

ゲームのなかでは、流れが良くなったと思ったところもけっこうありましたが、いいプレーの直後にペナルティを取られたり、ミスをしたりで、いい時間帯が続かなかった。ストップとスタートの繰り返しで、アタックのリズムを作れませんでした。アタックするたびに、反則を犯して終わっているような印象でしたね。 

チームとしては、来週も試合をするチャンスがあるので、相手がどうこうではなく、まず勝利に向かって自分の役割を果たすこと。そして、トライチャンスには確実にトライを獲り切ること。それが勝つためには、何よりも大切だと思います。 



プレーヤーズコメント

SH田中史朗 

今日は、本当に勝たないといけない試合を落としてしまいました。 

ブレイクダウンでペナルティを取られたり、相手に乗り越えられてボールを奪われたりしたので、これからは、その部分をもっと強化したいですね。 

チームとしては、まだ細かいところでのリアクションがもう1つだと思います。たとえば、反則を犯したときに、レフェリーと話しながら下がるのではなく、まずきちんと10メートル下がってから話を聞きに行くとか、そういう細かいところをもう少し意識する必要がある。僕自身も、もっともっと声をかけないといけないですし。1人ひとりのマインドセットをもう少し変える必要があるでしょうね。 

結果的にチームが勝てていないのは僕たちの責任ですし、僕自身も、それほど良いパフォーマンスができていないので、もっと努力しないといけないなと感じています。 

次節に向けては、まず気持ちを切り替えないといけない。自分たちのいい部分をもっと伸ばせるように、僕もしっかり声がけをしながら、リーダー陣を中心にチームを作っていきたいと思います。 

 

 

CTBマリティノ・ネマニ 

今日は、雨というコンディションは関係なかった。競技場も素晴らしかったし、完璧な環境でした。 

試合の流れは行ったり来たりで、前半はスコアの上でもリードして(10対7)、グリーンロケッツがゲームをコントロールしていました。でも、後半は立ち上がりに反則をしたところが良くなかった。 

全体的に、細かい部分で上手くいかないことが多くて、せっかくアタックしても、オフサイドを犯したり、小さなミスを重ねてボールを失い、いつの間にか自陣に押し戻されていた印象です。チームとしての仕上がりは良かったけれども、“small detail”が、ちょっと良くなかったね。それが勝負に影響したと思います。 

チームはなかなか勝てないけれども、僕はいつも勝つつもりで試合に臨んでいます。みんなも勝つことを信じて、ハードワークを積んでいます。だから、問題はほんのちょっとのディーテイル。特に、反則数が多いところは来週に向けて、早急に修正しなければならない問題でしょう。 

細かいツメの部分が修正されれば、チームはもっと良くなると思いますよ。 

 

 

WTB後藤輝也 

グリーンロケッツのバックスは、リーグワンでもけっこう高いレベルにあると思っています。 

だから、今日もボールがクリーンに回ってくれば、という気持ちでプレーしていました。 

でも、タテに力強いプレーでゲインラインを切らないと、いくらバックスにボールを回しても、相手のディフェンスはそれほど苦しまない。アタックで前に出られていないから、サポートも遅れて難しくなるんです。後半は特に、そういう部分があったと思いますね。 

今は、チームの戦術が変わり、それに合わせてプレーしています。 

今季は右WTBという定位置にずっといるのではなく、ボールが動くなかでいろいろなところに顔を出して欲しいと言われているので、だからサイドにこだわらず、オープン側にボールをもらいに行ったり、もう一度定位置に戻ったりする機会が増えました。 

レメキも、僕のアタック力を信頼してくれるので、けっこう多くボールを回してくれます。そういう意味では、ボールを持つ機会が少し増えたと思います 

ただ、チーム全員もそれぞれゲームのなかでやることがしっかり決まっていて、だからこそ、まず1人ひとりが自分の仕事を確実にやり切ることが大切なのに、今日は、細かいところでやるべきことができていなかった。それで、ちょっとフラストレーションが溜まりました。 



 (取材・文:永田洋光)