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第13節 4/17(日) vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ マッチレポート

試合情報

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グリーンロケッツ、「いい部分」と「悪い部分」のバランス崩れてスピアーズに敗れる!
 


このクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で、第7節静岡ブルーレヴズ戦以来の先発出場となったPR瀧澤直キャプテンは、試合後に、残り3節となった今季、勝つために何が必要なのかを訊かれてこう答えた。
「試合のなかの“いい部分”を、いかに長く継続して、いかに“悪い部分”をブツ切りにするか」



これまでのグリーンロケッツも、未だに実戦で未勝利とはいえ、そのパフォーマンスがすべて悪かったわけでは決してない。
バックスが仕掛けるカウンターアタックのように、シーズン当初からディビジョン1の各チームに通じてきた強みもあれば、スクラムのように試合を重ねるなかで改善された部分もある。
ただ、そうした「いい部分」がゲームのなかに出現する頻度が、まだ改善途上の「悪い部分」が出現するよりも少ない。-183という得失点差は、両者の出現頻度の差を現す数字でもある。
マイケル・チェイカDOR(ディレクター・オブ・ラグビー)も、そうした「いい部分」と「悪い部分」のギャップに触れて、試合をこう振り返った。
「アタックのゲームプランは良く機能したと思います。ラックでも、スクラムでも健闘して5トライを奪い、30点以上挙げました。でも、相手には70点以上獲られている。アタック以外の部分が良くなかったために勝てなかったのです」
5トライを奪ったアタックを次節につながるポジティブな要素とすれば、11トライを奪われたディフェンスは早急な改善が必要、というのだ。
 
初勝利に燃えてピッチに出たグリーンロケッツも、勝利を期待して柏の葉公園総合競技場に詰めかけたクルーも、スピアーズの先制トライに出鼻をくじかれた。
キックオフから双方で地域を獲得するためのキックを蹴り合い、お互いにプレッシャーをかけ合うなかで、最初の時間帯は、グリーンロケッツが優位に進めた。
2分には、スピアーズ陣右22メートルライン上でマイボールのラインアウトを獲得。
絶好のポジションからアタックを仕掛ける。
SOフレッチャー・スミスのショートキックでゴール前へと攻め込み、スピアーズのピンチ脱出のキックを、WTB宮島裕之が捕ってカウンターアタック。ラックに持ち込んで右に展開する。
キックで地域を進め、ボールを再獲得して有利なポジションから一気にアタック――という、準備してきたゲームプランが功を奏しつつあった。
ラックから出たボールを受けたスミスは、右隣の少し下がった位置にいたHOアッシュ・ディクソンを飛ばし、スミスとほぼ平行の位置にいたPR當眞琢に、フラットなパスを放る。
しかし――捕球したのは、この試合が初先発となった當眞ではなく、スピアーズNO8ファウルア・マキシ! このインターセプトからマキシが一気に80メートル近くを独走し、グリーンロケッツは、いきなり失点を背負うことになった。
「相手が防御に上がってくるラインスピードを考えたら、あそこでああいうパスを選択すべきではなかった。真横に放るフラットなパスを選択したことは間違いではなかったのですが、少し離れた味方(當眞)にではなく、隣にいる選手(ディクソン)に短いパスを渡して、ゲインラインを切るような選択をした方が良かった。僕のミスでした」
パスを放ったスミスは、そう言ってこのプレー選択を悔やんだが、瀧澤キャプテンは、「別にショックではなかった」と振り返る。
「あんなトライはなかったことにして、まだ0対0なんだと本当に心から思えるか――次のリスタートから試合が始まるんだ、くらいに気持ちを切り替えることが重要だと思います」
ゲームプラン通りに攻めた結果の入れ違いを悔やむよりも、気持ちを切り替えて次のリスタートに臨む方が大切だということを、キャプテンは長い経験から学び取っているのだ。
果たしてそんな気持ちがフィフティーン全体に伝わったのか、グリーンロケッツもすぐにPGを返して3対7と点差を詰めた。
しかし、直後からの20分間でグリーンロケッツはもう1つPGを加えただけ。
一方のスピアーズは3トライを奪って、スコアは6対28と開いた。
 
スコアが次第に離されていく展開にもかかわらず、スタジアムにはクルーが鳴らす張り扇の音が絶え間なく響いていた。
そんなクルーの思いが通じたのか、28分にはグリーンロケッツの「いい部分」が飛び出した。
防御ラインが素早く前に上がって、スピアーズのアタックに圧力をかける。
スピアーズのキャプテンCTB立川理道は、その圧力をかわすように、背後のスペースに小さなキックを落とす。弾んだボールに反応したのは、ショートキックにも対応できるよう防御に戻っていたスミスだった。

ボールを追走してきた相手とすれ違うように走り出したスミスは、スピードに乗ったステップで相手をかわして大きく前進。防御に囲まれると、右にコースを変えて、サポートしてきたWTB杉本悠馬の前を横切るように走りながら、短くクロスパスを出す。
「フレッチャーがいいパスをくれたので、ボールを持ったときには、コースが空いているのが見えました」と杉本。

言葉通りにそのままスピードに乗って直進。タックルを振り切って、インゴールにグリーンロケッツでの初トライを記録した。
スミスがコンバージョンを決めて13対28と、点差を詰める。
スピアーズにもう1トライ追加された直後には、リスタートのキックを宮島が追走。捕球した相手を倒して反則を誘う。そして、続くラインアウトから、今度はFBに入ったレメキ・ロマノ・ラヴァが魅せた。
モールから右に展開されたボールを受けたとき、味方は少し離れた位置に杉本がいるだけで、目の前にはスピアーズの防御が広がっていた。そんな数的不利な状況を見て取ると、レメキは内側にカットイン。スピードに乗って相手を抜き去り、そのまま歓喜のダイブでトライを決めた。

こちらもスミスのコンバージョンが決まって20対35。
前半の残り時間は5分あまり。
さらに追加点を挙げれば、後半に勝負を懸けられる――そんな期待にクルーの熱も高まった。
 
前半最後の攻防は、LOルーク・ポーターのジャッカルで相手の反則を誘い、獲得したマイボールのラインアウトから始まった。
アタックの途中で前半終了のホーンが鳴る。
直後に、スミスが右奥のスペースに向かって高くボールを蹴り上げた。
追走した杉本がタックルに入り、スピアーズ陣22メートルラインを越えた辺りでラックになる。ここでボールを再獲得できなくても、スピアーズのアタックを止めれば、15点差でハーフタイムを迎えられる。
ところが、ラックからタッチラインまでのわずか数メートルのスペースを、スピアーズのアタックに食い破られてトライを奪われてしまう。
キックを蹴ったスミスは、試合後にこう振り返った。
「このトライもそうですが、タッチラインに近い位置でラックができたときに、周辺にいる選手がラックでのボール争奪にばかり注目して、狭いサイドの防御が薄くなってしまうことが、グリーンロケッツにはあります。キックを使ったこと自体は悪くなかったし、相手を捕まえてプレッシャーをかけるところまではできていたのですが、そのあとで狭いサイドを守る意識が少し薄かった」
試合の流れを考えると、これが大きく響いた。
「決して与えてはならないトライ」と、この場面を振り返ったのは、チェイカDORだ。
果たして後半立ち上がりには、スピアーズに3連続トライを奪われて、20対59と、スコアが開く。瀧澤キャプテンの言葉を借りれば、「悪い部分をブツ切りに」できなかったのだ。
 
それでもクルーの思いに応えたいグリーンロケッツは、次のリスタートから「いい部分」をフルに発揮した。
まず、短く蹴ったリスタートのキックをポーターがキャッチ。そこから連続攻撃を仕掛け、左タッチライン際の狭いスペースで数的優位を作り出して、FLアセリ・マシヴォウがきれいにブレイク。そのままアセリが走り切るかと思われたが、トライ寸前で倒されてラックに。しかし、アタックは停滞せず、最後は途中出場のFLカヴァイア・タギヴェタウアがSH田中史朗のパスを受けてインゴールに飛び込み、ノーホイッスルでトライに仕上げた。



その後も2トライを奪われて失点は増えたが、72分には相手キックが味方に当たった跳ね返りを途中出場のWTB吉廣広征が拾って抜け出し、右タッチライン際を快走。さらに左へ展開し、タッチライン際の密集から、こちらも途中出場のFBトム・マーシャルがボールをタッチに出さないように身体を投げ出してスミスに放る。パスを受けたスミスは、一瞬足が止まったスピアーズ防御の隙間を駆け抜けてポスト真下にトライ。
終了直前には、途中出場のNO8ジョージ・リサレが力強い走りでトライを挙げた。
最後の10分間を、張り扇が鳴り響く“グリーンロケッツの時間帯”にして、試合を終えたのだった。




この試合を終えた時点で、グリーンロケッツは依然として12位のまま。
そして、次節24日に、最下位脱出を懸けてNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安と、引き続きホストスタジアム・柏の葉で対戦する(14時30分キックオフ)。
新生グリーンロケッツが、これまで積み重ねてきた努力を結果として記録に残すためにも、また、順位を上げてディビジョン2上位チームとの入替戦を回避するためにも、是が非でも勝利が求められる重要な一戦だ。幸いなことに、次節に勝利を挙げれば、他チームの結果にもよるが、順位は一気に9位へと上がる可能性も残っている。
そのために、どこにフォーカスして戦うのか。


「アタックのスイッチを入れるタイミング」と答えてくれたのは、吉廣だ。
「今季は、(防御の陣形が崩れた)アンストラクチャーな状況からいいトライが獲れています。それが昨季とは大きく違うところ。今は、チームの足が止まることがほとんどないので、それだけに、いつアタックのスイッチを入れるかが大きな意味を持つ。点差が離れてからアタックのスイッチを入れても、それでは追いつかないことになってしまいますからね」
ゲームプランの進展と、スコアボードの推移を見ながら、いつアタックマインドを全開にするかがカギだというのだ。

一方、チェイカDORは「ディフェンスの連携(コネクション)」を「集中的に強化する」と話す。
「アタックのスイッチ」と「ディフェンスの連携」では、考え方が違うように感じられるかもしれないが、ディフェンスの連携を貫き通して相手からボールを奪えば、それまでアタックに備えていた相手は防御態勢へと切り替えなければならない。つまり、そこに現れるのが、「アンストラクチャー」な状況なのである。
ラスト10分間に、クルーがグリーンロケッツの連続トライに張り扇を鳴らし続けたように、次節こそ、事前の準備がぴたりとはまって、クルーが80分間、満面の笑みをたたえて張り扇を鳴らし続けるような展開に持ち込むこと――それが、グリーンロケッツ最大のミッションとなる!



スターティングメンバーなどはこちらよりご覧ください。

リーダーズコメント

マイケル・チェイカDOR

アタックのゲームプランは良く機能したと思います。でも、ディフェンスではプラン通りにいかなかった。ラックでも、スクラムでも健闘して5トライを奪い、30点以上挙げましたが、相手には70点以上獲られた。こうなった要因の1つに、キックを落とす場所の問題がありました。もっと相手防御の端の方に蹴って再獲得を狙うプランでしたが、防御のいるところに蹴る場面が多かった。だから、キックを追った選手たちが真ん中に寄ってしまい、両端の防御が薄くなってしまいました。
特に、タッチライン際の狭いスペースの防御が甘くなって獲られた前半終了間際のトライは、決して与えてはならないトライだったし、こういうことが起こらないようにしっかりと準備をしたいと思っています。
ディフェンスの連携(コネクション)も良くなかった。しっかり前に出て相手の大きな選手を止め、球出しを遅らせなければならないのですが、それがまだできていない。この部分は、これからも集中的に強化するつもりです。
次節に向けては、まず今日の良かった部分をさらに伸ばしていきます。相手から40点以上奪えば勝てるはずですから。
でも、今日は5トライを奪いながら、アタック以外の部分が良くなかったために勝てなかった。
当然、次節に向けての準備では、ディフェンスやキックの部分を修正していくつもりです。その上で40点以上獲れば勝てるでしょう。
もちろん、シーズン最大の山場となるゲームですが、ホストスタジアムでファンの応援を受けてプレーできる。それも、大きなアドバンテージだと思います。
 
瀧澤直キャプテン

(今季は)あくまでも個人的な見方ですが、一度ミスしたところでまた同じようなミスをしたり、同じようなトライの獲られ方をしたり……と、ミスが継続して、集中力が切れてしまうところがある。そこが点数を多くとられる原因になっているように思います。
たとえ相手にトライを1つ獲られても、次へと気持ちを切り替えてリスタートすれば、同じような獲られ方を繰り返すことも防げるし、トライを積み重ねられることもない。
悪い部分は試合のなかでブツ切りにして、いい部分を長く継続できるようにすることが必要だと思います。これは、どこかで結果を出して、自分たちがやってきたことを信じられるようになれば、変えることができると思います。
(インターセプトのトライ)個人的にはショックではなかったのですが、それをショックに思ったり、スコアの上で0対7となったことを、良くないと感じたところがチームにはあったのかな。
あんなトライはなかったことにして、まだ0対0なんだと本当に心から思えるか――今からキックオフで試合が始まるんだ、くらいに気持ちを切り替えることが重要だと思います。
今日は久しぶりの先発でしたが、個人の仕事に集中しようと思って試合に臨みました。
目指す勝利は、1人ひとりが個人の仕事を果たした後についてくるものだと思っているので、まず自分がやるべきことにフォーカスしました。結果としては良かったところもあれば、まだまだだなという部分も、あったと思います。

プレーヤーズコメント

今季初先発のPR當眞琢

緊張はしましたが、今までやってきたことを練習通りに出すだけだと自分に言い聞かせてピッチに出ました。いい準備ができた手応えがあったので、自分としては、緊張よりも自信を持って試合に臨めたと思います。スクラムでも、相手がどうこうというより、8人全員で今までやってきた自分たちのスクラムを組もうという意識が強かったですし、明確にしていましたから。しかも、その結果、ペナルティをもらえたので、自信になりました。
自分自身でスクラムに手応えを感じていますし、もっと上のレベルに行ける手応えもあります。
ただ、今は、それよりもチームの1人ひとりが自分の仕事を理解しているので、それがいいスクラムにつながっている。8人全員で組むスクラムが明確になっているからこそ、いいスクラムが組めているのだと思います。もっとレベルというかスタンダードを上げていけば、そこからいいアタックや得点につながると思います。
次節は、さらにチーム一丸となって、1つのミスに対してもお互いに厳しく言い合えるような状態で臨みたいですね。
 
前節から11本連続でキックを成功させているSOフレッチャー・スミス

とてもタフなゲームでした。ゲームプランは良かったのですが、自分たちのミスから相手につけいる隙を与えてしまった。
インターセプトに関しては、僕のミスでした。相手が防御に上がってくるラインスピードを考えたら、あそこでああいうパスを選択すべきではなかった。真横に放るフラットなパスを選択したこと自体は間違いではなかったのですが、相手のラインスピードを考えれば、遠く離れた味方にではなく、となりにいる選手に短いパスを渡して、ゲインラインを切るような選択をした方が良かった。そういう意味で、少し悔いが残りました。
ハーフタイム直前に獲られたトライもそうですが、タッチラインに近い位置でラックができたときに、周辺にいる選手がラックでのボール争奪にばかり注目して、狭いサイドの防御が薄くなってしまうことが、グリーンロケッツにはあります。
キックを使ったこと自体は悪くなかったし、相手を捕まえてプレッシャーをかけるところまではできていたのですが、そのあとで狭いサイドを守る意識が少し薄かったですね。キックは、蹴られたボールをしっかりと追いかけ、相手を倒してボールを確保したり、たとえ相手にボールを出されても、それを完全に止められるようなディフェンスをして、初めて有効になるのです。
ここ3週間、サイズの大きな強いチームとの連戦が続きましたが、そのなかでしっかりと準備してきたし、ゲームプランも的確でした。ただ、ゲームプランを実行する精度が、まだ十分ではなかった。アタックでは準備した通りにトライを獲ることもできていますが、ディフェンスでの遂行力と精度はもっと高める必要がある。それが、次節に向けてとても大切だと思います。
 
今季初先発で80分間フル出場したCTB松浦康一

今季はケガばかり続いて、プレシーズンの試合でも20分くらいプレーした程度でした。しかも、そのあとにケガをして、ようやく第5節のコベルコ神戸スティーラーズ戦で10分ほどプレーしましたが、それほどボールを持つ機会もなかったので、プレーした実感はあまりありませんでした。
試合勘がなかったので、今日の試合に出ることが決まっても、どうなるのだろうか……チームにマッチできるのか、という不安はありました。ただ、ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)が、「シンプルでいい。ディフェンスをやって、ボールを持ったら前へ行け」と、ずっと声をかけてくれたので、自分でも、身体を張り続けて前に出ようと決意してピッチに立ちました。
結果は負けましたけど、自分のなかでは少し手応えを感じた試合でした。
今は、チームのなかでも、戦術的な部分よりも、ディフェンスにどれだけ激しく行けるかを、チェイカDORも強調しているので、とてもシンプルでわかりやすい。
僕自身、第13節でようやく先発という状態でしたから、ボールを持ってどうこうより、とにかく相手の前に立って、タックルに身体を張り続けてアピールしようと、シンプルに考えてプレーしました。アタックに関しては、すごい選手がいっぱいいるので、そうではない部分で自分に何ができるのかを、ケガしている間から、ずっと考えていたのです。
久しぶりのゲームにしては、コンタクトの部分は良かったのではないかと、思っています。これを、どれだけ継続してできるか。とにかくあと3試合、ケガすることなく、少しでもアピールしてゲームに出たいですね。
 
グリーンロケッツでの記念すべき初トライを挙げたWTB杉本悠馬

今日は、(初めてのホストゲームで)前半はちょっと緊張し過ぎて、周りが見えていなかった。でも、雰囲気に慣れてからは、いい緊張感でプレーできたので、次節はもっとリラックスしてプレーできると思います。
トライは、フレッチャーがいいパスをくれたので、パスをもらったときには、コースが空いているのが見えました。結果がいい形になって、本当に良かったです。
ただ、今日は、後半にハイボールキャッチが上手くいかなくて、自分の得意分野を生かし切れなかった。チームに迷惑をかけてしまったと反省しています。
次節以降も、トライを獲るというより、とにかくチームに貢献したい。そのために、一所懸命ひたむきにプレーしたいと思います。
 
ラスト10分でピッチに立って快走を魅せたWTB吉廣広征

年はとりましたが、ここ数年はスピードが一番上がっている状態なので、WTBでも戸惑いはなかったです。80分間、あのスピードを維持するのは、ちょっとどうかな……とは思いますが。
それに、トップリーグの時代から、特に若手の頃はWTBでプレーすることも多かったので、ポジションの戸惑いもなかったですね。だいぶ懐かしい感じでしたけど(笑)。
今季、チームが変わった点は、アンストラクチャーからのアタックでトライが獲れていること。そこが、昨季と大きく変わりました。だから、相手がキックを蹴ってきたときに、どうやってアンストラクチャーな状態を作り出せるかが、アタックでは大切になってくる。そういう意味では、いつアタックのスイッチを入れるかが、重要なカギになると思います。
キックを使ってゲームを組み立てることはもちろん必要ですが、今日のように、点差が離れてからアタックのスイッチを入れても、それでは追いつかない。今は、チームの足が止まることがほとんどないので、スコアを見ながら、いつスイッチを入れるかが大きな意味を持つでしょうね。
ディフェンスでは、広いスペースにボールを運ばれたときにどう守るか。それが課題だと思います。コンタクトが起こる近場のディフェンスは、第4節のスピアーズ戦よりできていたと思いますが、広いスペースにボールを運ばれて、人数的に余った状態を作り出されると厳しい。特に、コネクション(連携)を保つためのコールを、早く明確に、かつしっかりと出すことが必要でしょうね。

 (取材・文:永田洋光)


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