「もっと身体を張れよ!」レメキ主将のゲキも届かずGR東葛、スティーラーズに完敗!
~リーダーたちが訴える「接点」の大切さと次節への決意~
いつも笑顔を絶やさず、常に前向きなコメントでチームを鼓舞し続けてきたキャプテンのレメキ ロマノラヴァが、大きな目を見開いて怒っていた。
26対59と大敗したコベルコ神戸スティーラーズ戦の記者会見直後のことだ。
ロッカールームに戻る前に、一度深呼吸をしてから一気に言葉を吐き出した。
「ラグビーの基本はフィジカル勝負。フィジカルで勝てないと、どうしようもない。今日は、技術的なことではまったくなく、フィジカルで負けたことがすべて。スクラムも、モールも、アタックも、ディフェンスも、こぼれ球への反応でも、全部負けていた。これでは、どんなにいい準備をしても勝てない……」
立ち上がりの2分にマイボールスクラムを押し込まれてボールを奪われると、スティーラーズに一気に防御を突破され、最後はLO張碩煥(チャン・ソクファン)にゴールポスト真下にトライを決められた。そこからはマイボールを確保することもできず、15分までに3トライを献上。いきなり0対21とリードを広げられた。
そんな立ち上がりが、キャプテンには耐えられなかったのだ。
レメキが言う。
「スティーラーズが、(リスタートの)キックオフから蹴らずに攻めてくることはわかっていた。それをみんなに伝えたけど、でも最初のタックルが外されると、そこからは下がりながらのディフェンスになる。チームに、ゲームプランをやろうとする意志はあったけれども、最初のタックルが決まらないから、1人に対して3人がタックルに行くような状況になってしまった。だから、接点に人数を集められて、簡単にスペースを作られた。
大切なのは、『接点で負けない!』という気持ちなんだよ。身体のサイズだけがすべてではない。ちゃんと身体を張れば何でもできる。でも、最初の接点で負けると止められなくなるんだ」
大きな瞳には、うっすらと涙の膜がかかっている。
「強いチームと対戦することが一番楽しい」が口癖のキャプテンには、「接点で負けない気持ち」が試合を通してあまり感じられなかったのかもしれない。
ハーフタイムには「もっと身体を張れよ!」とチームメイトにゲキを飛ばしたことも明かして、キャプテンは、こう言葉を継いだ。
「みんな前向きに頑張ってはいるけど、フィジカルの部分で勝たないと、ラグビーはなにもできない。FWも、1つひとつの勝負で負けているから、元気がなくなっていった。僕がなんとか前に出ようとしても、みんなの反応が薄かった。強いチームなら、1つの局面で負けても次のプレーに向けてマインドセットを切り替えられるけど、グリーンロケッツ東葛は、ミスや反則が続くと落ち込んでしまう。今日は、1月の第3節と同じ19点差で前半が終わったけど、あのときと違って前半で勝負がついた印象だった」
1月8日に柏の葉公園総合競技場でスティーラーズと対戦した際には、立ち上がりにイエローカードが出て10分間を14人で戦うはめになり、やはり3トライをいきなり奪われた。しかし、後半は反撃に転じて最終スコアは33対43。劣勢のなかからトライを重ね、終了直前にも7点差以内負けの1ポイントを獲得しようと懸命に攻めて、クルーの心をつかんだ。
この日も、0対21からSHニック・フィップスの連続トライで14対33と少し差を詰めて試合を折り返し、後半立ち上がりにはCTBクリスチャン・ラウイのトライとSO吉村紘のコンバージョンで12点差まで追い上げた。
しかし、頼みのスクラムが安定せず、ラインアウトからのモール攻撃も組み止められて、その後はWTB尾又寛汰が1トライを返したのにとどまった。
試合のラストシーンは、レメキが抜け出して内側にパスを返そうとしたところで腕にタックルを受けてのスローフォワード。意地のラストアタックも不発に終わっている。
展開は同じようでも、ピッチにいたキャプテンには「違う」と感じられたのだ。
それでもキャプテンは、最後の場面を「楽しかった」と振り返る。
「僕は、いつも強いチームと対戦することが一番楽しいと思っている。最後の場面も、相手に手をはたかれてスローフォワードになったけれども、ボールを持ったら常に相手と勝負する気持ちを大切にしたい。なにも怖くはないからね。
次節は東京サントリーサンゴリアスが相手だけど、ホストでのゲーム(26日 柏の葉公園総合競技場 14時30分キックオフ)だから、気持ちを切り替えて立ち向かうしかない。今はキツい状況になると、諦めてしまうことが多いけれども、キャプテンとしてそういうマインドセットを変えようとしている。もう1回みんなで集まって、なにをすべきかを話し合った方がいいかもしれないね。
ホストエリアの子どもたちのためにも、強いハートを見せたいから」
ロバート・テイラーHC(ヘッドコーチ)も、「接点でスティーラーズを止められなかったことが最大の敗因」と振り返った上で、次節に向けてこう話す。
「次節のサンゴリアス戦も、フィジカルに勝る上位チームへの挑戦になります。だから、キーポイントは接点で負けないこと。そこに尽きます。
そのためには、精度の高さを保つこと。つまり、1つひとつのプレーを意図した通り正確に遂行する。これ以外に対処法はありません。スクラムやラインアウトといったセットプレーから、タックル、ボールキャリー、すべての局面において言えることです。そのために、もう一度、練習のときから精度にこだわって準備をしたい。今季、これまで強みとなっていたセットプレーも、もう一度入念にチェックをします。そして、早くボールを動かしてサンゴリアスを走らせ、疲れさせるような展開に持ち込みたい。つまり、次節は精度とスピードがゲームを決める大切な要素となるのです。特に、こちらがミスをしてサンゴリアスにスクラムを与えてしまうと、彼らの強みを引き出すことになる。だからこそ、精度の高いプレーが求められるのです。
1週間の短い準備期間でできることは限られますが、そのなかで気持ちをもう一度強く持って、正確にプレーすることを心がける。次節はそうやって、ホストエリアの人たちに誇りに思ってもらえるようなゲームをしたいと思っています」
試合前には10位で、11位にいるグリーンロケッツ東葛のターゲットだったスティーラーズは、この勝利で8位へと浮上した。一方、グリーンロケッツ東葛は勝ち点9で11位のまま。10位の三菱重工相模原ダイナボア―ズとの勝ち点差は11ポイントで、2節続けてボーナスポイントつきの勝利を挙げても届かない。
この絶体絶命のピンチを、リーダーたちが求める「強い気持ち」で脱出できるか。
次節のホストゲームは、チームの意地と誇りの見せ所だ!
(取材・文:永田洋光)
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